引越し後に幼稚園にそのまま通える?転園と継続の判断基準を詳しく解説

幼稚園に通っている子どもの成長に合わせて住宅購入を検討していたら、隣の市に理想の物件が見つかった。そういうときに悩ましいのが、子どもの幼稚園。そのまま通えるのか、それとも転園が必要なのかで頭を悩ましている親御さんも多いかと思います。

子どもが友だちと離れ離れになるのはかわいそうだから、できることならそのまま通わせてあげたいけど、そんなことが可能なのか気になりますよね。

ここでは引っ越しをするときに、幼稚園を転園するのか継続して通うのかの判断基準について、わかりやすく解説していきます。

幼稚園にそのまま通える?公立と私立で違う

引っ越しをした後も、これまで通っていた幼稚園にそのまま通い続けられるかどうかは、幼稚園が公立なのか私立なのかによって違います。一般的な考え方については次のようになります。

公立引っ越し先が違う自治体なら退園
私立送迎できるならそのまま通える

これだけではわかりづらいかと思いますので、公立と私立それぞれについて、もう少し詳しく解説していきます。

公立の幼稚園は自治体が判断する

公立の場合には自治体が運営しており、たとえば市立の幼稚園は市役所が管理しています。原則としてその自治体に住民票がある人でないと通えないため、ルールとしては市外に引っ越しをする場合には、そのまま幼稚園に通うことはできません。

ただしあと1ヶ月で卒園、あと1ヶ月で学年末というような場合には、特例としてそのまま通うことが認められるケースもあります。そのまま通わせたいのであれば、まずは幼稚園に相談してみましょう。

退園が必要だと判断されてしまったら、それに従うしかありませんので、引っ越し先のエリアで幼稚園を探しましょう。

私立の幼稚園なら引っ越ししてもそのままでOK

私立の幼稚園は原則として、通園エリアがありませんので、引っ越しをしても転園する必要はなく、そのまま通い続けられます。

ただし、送迎バスのエリア外だった場合には、車や自転車できちんと送迎できることが前提になります。

このケースで気をつけなくてはいけないのが補助金の申請です。幼稚園と旧居がA市にあるとして、B市に引っ越しをしたら、A市の幼稚園通っていても補助金はB市から受けることになります。必ずB市で申請をしてください。

引っ越しをした月の補助金をA市とB市のどちらが負担するかは、A市とB市で調整してくれます。このため引っ越しが決まったら、できるだけ早い段階で幼稚園に連絡してください。

そのまま通うのと転園どちらがいいか

ここまでは公立と私立それぞれの幼稚園の立場から、そのまま通えるのか転園が必要なのかについてお伝えしました。ここでは視点を変えて、親の立場として、どちらを選ぶべきなのかについてお伝えします。

まずはそのまま通うメリットとデメリットをリストアップし、それらを踏まえてどのように判断すればいいのか、その基準について解説します。

同じ幼稚園にそのまま通うメリット

メリット
  • 友だちとの関係を維持できる
  • 転園にかかる費用や手続きが不要

同じ幼稚園に通う場合には、幼稚園内ではこれまでと変わらない日々が続くわけですから、引っ越しにともなう子どものストレスを最小限に抑えられます。友だちとの関係も維持できるといったメリットもあります。

また転園する場合にはさまざまな費用や手続きが発生しますが、そのまま通う場合には幼稚園での住所変更手続きと、役場で補助金の申請手続きをするだけで済みます。

同じ幼稚園にそのまま通うデメリット

デメリット
  • 小学校に進むときに友だちがいない
  • 送迎の負担が発生する

同じ幼稚園に通うのであれば、幼稚園時代は同じ友人と過ごせますが、小学校に進学したときに友だちがいない状況で1年生がスタートします。これはこれで心理的な負担が大きく、子どもにとってはストレスになります。

また送迎バスのエリアから外れている場合には、親が毎日送迎しなくてはいけません。片道30分送迎時間が長くなると、1日2往復で2時間も移動に使うことになり、それを継続するのはそれなりの覚悟が求められ、しかも自転車で送迎となると体力も必要になります。

そのまま通うか転園するかの判断基準

メリットとデメリットを踏まえて、引っ越し前の幼稚園にそのまま通うか、それとも転園するかの判断基準についてお話しします。

  • 幼稚園がそのまま通うことを認めてくれるか
  • 卒園まで送迎を続けられるか
  • 友だちと卒園させたいか、友だちと小学校に入学させたいか

検討すべきポイントはこの3点です。

まず幼稚園が認めてくれないことにはどうにもなりません。私立幼稚園なら問題ありませんが、公立幼稚園の場合には幼稚園や自治体の判断に従いましょう。

幼稚園がそのまま通ってもOKなら、次は送迎ができるかどうかを夫婦で検討しましょう。送迎バスのエリアから外れた場合には、車か自転車で送迎しますが、さらに幼稚園で子どもが体調を崩したときには、すぐに迎えに行く必要もあります。

さらに通園に30分多くかかるとなると、朝もこれまでより30分早起きしなくてはいけません。その負担を夫婦でうまく分担できるのかどうかを話し合いましょう。

最後に子どもを友だちと卒園させたいか、それとも友だちと小学校に進学させたいかを決めましょう。どちらが正解というわけではありません。

これに関して大事なのは夫婦で教育方針を共有することが大切ですので、時間をかけて話し合いをしてください。

  • 幼稚園がそのまま通うことを許可
  • 卒園まで送迎できる
  • 友だちと卒園させたい

この3つがそろったなら、引っ越し前に通っていた幼稚園にそのまま通園させましょう。

幼稚園を転園するときの手順

公立幼稚園の許可が出なかったり、送迎が難しかったりして、引っ越し先で新しい幼稚園に通うとなったときに、どのような手順で展延すればいいのか見ていきましょう。

新しい幼稚園に入園するための手順

STEP.1
新居周辺の幼稚園をリストアップする
STEP.2
リストアップした幼稚園に転園可能か確認する
STEP.3
教育方針や環境、雰囲気などを基準に通う幼稚園を選定する
STEP.4
必要書類(入園願書・住民票・在園証明書)をそろえる
STEP.5
入園に必要な初期費用を用意する

転園するときに大変なのが幼稚園選びです。時間をかけて選んだのに定員で入園できないこともありますので、まずはリストアップした幼稚園に空きがあるかどうかを確認しましょう。入園可能な幼稚園を比較して、最適な幼稚園が決まったら入園に必要な書類をそろえてください。

幼稚園を転園するときには、入園金や制服・体操着の費用、教材費など初期費用が必要になりますので、それらの費用や必要な用具を用意してください。私立で17万円、公立で5万円くらい が相場です。まとまった金額になるので、あらかじめ引越予算に組み込んでおきましょう。

退園する時の手順

STEP.1
退園の意思を伝える
STEP.2
在園証明書など転園に必要な書類を発行してもらう
STEP.3
退園届けを提出する

退園するときには、引っ越しが決まった段階で退園する可能性があることを伝えておいてください。夫婦で相談して転園することに決めたら、あらためて退園の意思を伝え、在園証明書など転園に必要な書類を発行してもらいましょう。

後は退園届けを提出すればこれまで通っていた幼稚園での手続きは完了です。

幼稚園を転園するときに気をつける3つのポイント

引っ越しで新しい幼稚園に通うときには、気をつけておきたいポイントが3つかあります。それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。

引っ越し先の役場で補助金を申請する

すでに簡単にお伝えしましたが、住民票のある自治体が変更になった場合には、幼稚園に関する補助金は新しい自治体で再申請してください。申請を忘れると、補助金を受けられませんのでご注意ください。

また幼稚園就園奨励補助金以外にも、自治体ごとに補助金を用意していることもあります。引っ越し前に市役所のホームページなどで調べておき、利用できるようであれば、こちらも忘れずに申請してください。

必要に応じてお別れのプレゼントを用意する

幼稚園によってはお別れ会などを用意してくれますが、お別れ会でプレゼントを渡してもいいかどうかは幼稚園ごとに違います。渡してもOKというのであれば、1人100〜200円くらいの文房具や日用品などを用意しましょう。

もし幼稚園でプレゼントがNGとなっている場合には、親しくしていた友だちだけでも、お別れのプレゼントを渡しましょう。子どもが自分で手渡すことで、お別れに対して気持ちの整理が付きやすくなります。ちなみに少人数へのプレゼントなら、少しいいものを選んでもOKです。

気持ちの整理を付けなくてはいけないのは大人も同じ。親しくしてくれたママ友さんとの食事会を開くのがおすすめです。大人ですから親しくしていた人との関係は引っ越し後も続きますが、ゆっくりとお話しする時間を作って、楽しい思い出を記憶に残しましょう。

子どもの心のケアをきちんととする

子どもは大人が思った以上に順応性が高く、すぐに新しい環境に慣れますが、それでも転園は大きな変化で、子どもによってはストレスになります。引っ越し前後は子どもとの会話を意識的に増やして、心のケアをきちんとしましょう。

まだ小さいから説明してもわからないと思っても、引っ越しや転園する理由についてもきちんと伝えておきましょう。会話の中で新しい幼稚園についての魅力や選んだ理由を話してあげると、子どもは安心して前向きになってくれます。

気をつけたいのは子どもがいる前で、「前の幼稚園のほうが良かった」というような会話を夫婦でしないこと。子どもが前向きになるには大人も前を向く必要があります。子どもはそういった大人の言動に敏感ですので注意してください。

まとめ

引っ越しをしたときに、今の幼稚園にそのまま通い続けられるかどうかは、公立か私立かによって違います。公立は自治体が変われば原則退園で、私立は送迎に問題がなければ継続して通えます。ただし公立も短期間であれば、そのまま通わせてくれることもあります。

そのまま通えるとしても、送迎の負担が大きい場合や友だちがいる状態で小学校に進学させたいというのであれば、転園するのがおすすめです。ただし、どちらが正解というわけでもありませんので、夫婦でしっかりと話し合って方針を決めましょう。

夫婦で同じビジョンを共有できれば、大抵のことは乗り越えられます。そのまま通うにしても転園するにしても、子どもに不安を与えないために、家族みんなで前向きな気持ちで、新しい生活をスタートさせましょう。