賃貸物件の引越し最短退去は当日OK?すぐに引越したいときの豆知識

急に決まった会社の転勤など、すぐにでも引っ越ししなくてはいけないとき、気になるのは賃貸物件の最短退去期間ですよね。大抵の物件は2年契約をしているわけですが、それなのに「今日で契約終了してください」とお願いしたら了承してくれるのでしょうか。

ここではそんな賃貸契約の最短退去について詳しく解説していきます。また、引越作業そのものを最短で行うためにどうすればいいのか、その手順や注意点も合わせてご紹介しますので、急いで引っ越しをしたいという人は、ぜひ参考にしてください。

出ていくだけなら最短退去は当日

まず、賃貸物件からいつ引っ越しできるかということですが、出ていくだけなら最短退去は当日でも可能です。新居もしくは仮住まいが決まっている必要がありますが、出ていきたいという人を引き止める法律はありませんので、部屋を当日中に引き払うことも可能です。

ただし、何も準備ができていない状態で当日中に引っ越しするのはかなり困難です。なぜすぐに引っ越しできないのか、その理由を見ていきましょう。

入居審査がある場合には当日入居は不可

当日の引っ越しが難しい理由のひとつが、当日入居可能な賃貸物件がほとんどないためです。少なくとも不動産会社が管理している物件は入居審査あり、審査結果が出るまで最短3日かかります。このため物件を内覧して、その日のうちに契約し入居するということができません。

新居が確定していない場合には、ホテルやウィークリーマンションなどを利用することで、当日退去も可能です。会社都合などで翌日には新しい職場に勤めるという場合には、これらの方法を利用しましょう。

退去通知後も家賃が発生する

退去そのものは当日でも可能ですが、退去を通知したら家賃の支払いがすぐに止まるわけではありません。ほとんどの物件が契約書で事前の退去予告の期限が記載されており、例えば「30日前前までに通知すること」となっていると、通知してから30日間は家賃が発生します。

通知した当日に部屋を出ていくとしても、30日後までの家賃を払わなくてはいけなくなるわけです。大家さんと個人で契約しているのであれば、交渉次第で多少は値引きしてくれる可能性もありますが、かなり例外的な対応ですのであまり期待しないでおきましょう。

地域密着型の引越し業者なら当日対応できる

もうひとつ、当日の引っ越しが難しい理由として、引越し業者の手配に時間がかかるということが挙げられます。大手引越し業者では、見積依頼をしてから訪問見積もりがあり、さらに見積作成に時間がかかるので、最短でも2〜3日はかかります。

ただし地域密着型の引越し業者であれば、スタッフが対応可能なら当日中の引っ越しにも対応してもらえます。Google Mapなどで近隣の引越し業者を検索して、電話で対応可能かどうか確認してください。

当日の引っ越しに対応できる業者が見つからない場合には、レンタカーでトラックを借りるなどして自分で新居まで荷物を運ぶという方法もあります。冷蔵庫や洗濯機などは1人で運ぶのは難しいので、友人などに依頼して協力してもらいましょう。

賃貸物件を最短退去するための流れ

賃貸物件を1日で退去するとなると、契約が終了するまでの1ヶ月間は新居と旧居の2ヶ所に家賃が発生します。これを避けるためには1ヶ月後に引っ越しするのが理想です。ただ、1ヶ月は思ったよりも短く、しっかりとスケジュールを組まないと準備が間に合いません。

そこで最短退去するために、どのような作業や手続きがいつまでに必要になるかについて見ていきましょう。

STEP.1
契約終了30日前
不動産会社に解約通知書(退去届)を提出
STEP.2
新居契約(3〜7日)
・内覧
・申込み
・審査
・契約
STEP.3
引越し業者選定(1〜7日)
・見積依頼
・訪問見積もり
・契約
STEP.4
退去4週間前
転校届け・
不用品の処分
STEP.5
退去3週間前
荷造り開始・固定電話移転手続き
STEP.6
退去2週間前
ガス・電気・水道・インターネットの移転手続き・郵便転居手続き
STEP.7
退去1週間前
役所での転居手続き
STEP.8
退去日
引越作業
STEP.9
契約終了日
退去立ち会い

まずは不動産会社に解約通知書を提出しましょう。この時点で新居が決まっていない場合には、すぐに物件探しを初めてください。引越し業者を決める前に新居が確定している必要がありますので、1日でも早く契約しましょう。

お子さんがいる場合には、引っ越しが決まった時点で担任の先生に連絡し、転校届けを出してください。合わせて不用品の処分も始めましょう。自治体によっては粗大ごみの収拾日が月に2回程度しかありませんので、早めに動き出さないと回収日に間に合わなくなります。

引越し業者が決まって、ダンボールが送られてきたら荷造り開始です。当面の生活に必要ないものからダンボールに詰めていきましょう。同時に電気やガスなどの移転手続きを行い、1週間前には役所で転居手続きを行ってください。

引っ越しをする日と退去立会い日を同じにすると、引っ越し当日にドタバタすることになりますので、戻ってくるのが大変な遠方への引っ越しでないなら、別日に設定するのがおすすめです。不動産会社と相談して調整しましょう。

最短退去をするときの注意点

通常の引っ越しと違って、最短退去の場合には時間に余裕がなく、いろいろと気をつけなくてはいけないことも増えてしまいます。引っ越しで失敗しないために、どのような点に注意すればいいのか見ていきましょう。

やるべきことリストを作成する

まずは引っ越しでやるべきことリストを紙に書き出しましょう。引越し業者のサイトや引越し一括見積もりサイトなどにやるべきこと一覧が掲載されていますので、それらを参考にしてください。ポイントは「紙に書き出す」ということです。

いつでもすぐに確認できるようにしておくことが重要です。書き出した用紙は、冷蔵庫などに貼っておいてください。その作業をひとつずつ終わらせてチェックを入れることで、手続き漏れなどを防ぐことができます。

アナログなやり方ですが、失敗を防ぐためにかなり効果的な手法です。引っ越しが決まったらすぐにリストを作成してください。

引越しチェックリストダウンロード

アプリでチェックリスト

新居が決まったらすぐに引越業者を選定する

引越し業者の確保は新居が決まったらすぐに行ってください。引っ越しの1週間前でも大丈夫と紹介しているサイトもありますが、先送りするメリットはひとつもありません。先送りすればするほど業者の予約が埋まっていき、希望日に引っ越しできなくなります。

賃貸契約を結んだらすぐに見積依頼をしましょう。特に3〜4月の繁忙期には早めに見積依頼しないと、どの業者も予約が埋まってしまい、引越難民になる可能性があります。引越し業者を選ぶときのコツについては、後ほど詳しく解説します。

家財が多い場合には荷造りを業者に依頼する

家賃が2重払いになってもいいから、とにかくすぐに引っ越しをしたいという場合や、家財が多い場合には、自分で荷造りするのではなく、引越し業者に任せるのがおすすめです。荷造りのプロに任せることで、1日もかからずに荷造りが完了します。

引越料金は上がってしまいますが、引っ越し当日までに荷造りが終わっていないと追加料金が発生したり、梱包が終わっていない家財を置いていかれたりすることもあります。そのようなトラブルにならないようにするためにも、任せられる作業はすべて業者に依頼しましょう。

不用品は回収業者に処分してもらう

数日のうちに引っ越しをしたいという場合には、自治体の粗大ごみ回収に間に合わないケースがほとんどです。この場合には不用品は回収業者に依頼して処分してもらいましょう。間違っても不法投棄などはしないでください。マンションなどのゴミ捨て場に勝手に置いていくのもNGです。

引越し業者によっては不用品回収にも対応していますので、回収業者に依頼する時間がないという場合には、回収に対応している引越し業者の中から選ぶという方法もあります。いずれにしても、正しい方法で処分するように心掛けてください。

原則として退去の立会いが必要

最短退去するまでの流れの中で簡単に説明しましたが、どの物件でも契約者の退去立会いが発生します。立ち会いは契約期間中に行う必要があり、なおかつ引越作業が済んで原状回復させてから行いますので、それを踏まえてスケジュールを組む必要があります。

どうしても契約者本人が立ち会えない場合には、代理人にお願いすることも可能です。不動産会社によっては委任状が必要になりますので、代理人に鍵と一緒に渡しておきましょう。

時間がないときに引越し業者を選ぶコツ

新居が決まったらすぐに引越し業者を選定するとお伝えしましたが、ここでは時間がないときの業者選定のコツを解説します。

  • 費用を気にしないなら1社に絞って連絡
  • 安く抑えたいなら引越し一括見積もりサイトを使う

基本的な考え方はこの2つ。とにかく今日にでも引っ越ししたいという場合には、業者を選んでいる時間はありません。拠点が近くにある地域密着型の引越業者に電話をして、多少割高でも最初に対応可能としてくれた業者に作業を依頼しましょう。

引っ越しまで1週間以上猶予があるなら、引越し一括見積もりサイトを使うのがおすすめです。少しでも引越料金を安くするには相見積もりが必須ですが、1社ずつ連絡するのでは効率が悪く、さらに値段交渉も必要になります。

引越し一括見積もりサイトなら、1回の申込みで複数社に見積依頼でき、さらに相見積もりが前提になっているため、最初から安値を提示してくれます。どの業者もすぐに契約したいので、業者からすぐに連絡がくるといったメリットもありますので、最短退去をしたいときにおすすめです。

まとめ

仕事の都合ですぐにでも引っ越しする必要があったとしても、賃貸物件の場合には事前に退去予告が必要になり、多くの物件で退去を通知してから1ヶ月間は家賃を支払う必要があります。それまでに退去することは可能ですが、新居の家賃と合わせて家賃を2重払いすることになります。

退去はすぐにできるものの、新居の契約には最短でも3日はかかります。すでに新居が決まっていたとしても、大手引越し業者に依頼すると、申込みから契約まで数日かかります。その場合には当日対応できる地域密着型の引越業者に依頼しましょう。

1ヶ月後に引っ越しをするにしても、のんびり準備していると、引越日になって荷造りや手続きが終わっていないなんてことになりかねません。引っ越しが決まったらすぐにやるべきことリストを作成して、ひとつずつ終わらせていきましょう。