【知らなきゃ損】ハローワークで引越し費用がもらえる!失業保険の仕組み

失業期間中の求職活動によって再就職先が決まったけど、その会社が遠方にあり引越し費用を捻出できそうにない。そういうときに頼りになるのがハローワークです。ハローワークでは再就職のために遠方に引っ越しをする人に対して引越し費用を支給しています。

ただし誰でも受給できるというわけではなく、いくつかの条件を満たしている必要があります。そこでここでは、どのような条件を満たせば引越し費用を支給してもらえるのかについて解説し、申請の流れや利用する上での注意点も合わせてご紹介します。

ハローワークで引越し費用が支給される条件

それではまず、どのような人がハローワークで引越し費用を支給してもらえるのか、その条件を見ていきましょう。

  • 雇用保険の受給資格者
  • 再就職先の会社や職業訓練施設などから引越し費用が支給されない
  • ハローワークや特定地方公共団体、職業紹介事業者の紹介で職業に就くために引越しをする
  • 公共職業訓練等を受講するために引越しをする
  • ハローワークの所長が認める

引越し費用は雇用保険制度の「移転費」として支給されるため、雇用保険の受給資格者であることが必須条件となります。なおかつ、再就職先の会社や職業訓練施設などから引越し費用が支給されない場合に受給対象になります。

以前はハローワーク経由の就職であることも条件でしたが、現在は特定地方公共団体、職業紹介事業者の紹介も対象となっています。就職だけでなく職業訓練を受けるための引越しも対象となります。

これらの条件を満たし、さらに下記に該当する場合、ハローワークの所長が必要性を認めると引越し費用を支給してもらえます。認めてもらえるかどうかの基準を見ていきましょう。

  • 通勤通所が往復4時間以上
  • 交通機関の始発や終発の便が悪く、通勤通所が難しい
  • 再就職先の会社や職業訓練施設の事情や要求がある

細かく条件が設定されていて複雑に思うかもしれませんが、基本的な考え方として「現住所からの通勤が難しいと判断された場合に引越し費用が支給される」と覚えておきましょう。

引越し費用はどこまで支給される?

引越しは高額な費用が発生しますので、ハローワークからどこまで支給してもらえるのか気になりますよね。引越し費用としてハローワークから支給される費用は3種類あります。

  • 新住居に移動するための交通費
  • 引越業者に支払う費用
  • 着後手当

それぞれの費用について、もう少し詳しく見ていきましょう。

新住居に移動するための交通費

旧住居から新住居まで移動するための交通費として、通常の経路・方法によって算出された金額が支給されます。本人だけでなく親族も一緒に引越しする場合には、家族分の交通費も支給されます。

引越業者に支払う費用

家財を旧住居から新住居に運搬するための費用(引越業者に支払う料金)が移転料として支給されます。支給額は鉄道賃計算上の基礎となる距離や一緒に引越しをする親族の有無に応じて、定められています。

鉄道賃計算上の基礎となる距離

距離~未満移転料※独身者・単身赴任
50km未満93,000円46,500円
50km~100km107,000円53,500円
100km~300km132,000円61,000円
300km~500km163,000円81,500円
500km~1000km216,000円108,000円
1000km~1500km227,000円113,500円
1500km~2000km243,000円121,500円
2000km以上282,000円141,000円

※単独で移動する場合(独身者も含む)移転料の2分の1相当が支給される

引用:雇用保険制度

着後手当

雇用保険の移転費を使って引越しをした場合、着後手当として下記が支給されます。

●旧住居から新住居までの鉄道賃計算上の基礎となる距離が100km未満

親族76,000円
独身者・単身赴任38,000円

●旧住居から新住居までの鉄道賃計算上の基礎となる距離が100km以上

親族95,000円
独身者・単身赴任47,500円

引越し費用を受給するための手順

ハローワークで引越し費用を支給してもらうための流れは次のようになります。

STEP.1
書類提出
STEP.2
移転費支給決定書および移転証明書の交付
STEP.3
就職先の事業主に移転費支給決定書および移転証明書を提出
STEP.4
就職先が移転証明書に必要事項を記載してハローワークに返送
STEP.5
指定口座に移転費が支給される

重要
ここで重要になるのが最初の書類提出です。書類提出には期限があり、引っ越し翌日から1ヶ月以内に行わなくてはいけません。提出する書類は下記になります。

  • 移転費支給申請書
  • 雇用保険受給資格者証

親族と一緒に引越しする場合には、その親族が受給資格者の収入によって生計を維持されている同居の親族であることを証明できる書類(住民票や家族の所得証明書)が必要になります。

移動に飛行機を使った場合には、その領収書も合わせて提出してください。電車や新幹線などでの移動の場合には領収書は必要ありません。

移転費を使って引越しをするときの注意点

条件を満たせばハローワークから引越し費用を支給してもらうのは、それほど難しいことではありませんが、気をつけてもらいたいポイントがいくつかあります。どのような点に気をければいいのか見ていきましょう。

自己都合退職でも待期期間経過後に適用される

「自己都合退職の場合、給付制限の期間(2〜3ヶ月)が経過するまで、引越し費用を出してもらえない」と紹介しているサイトがありますが、これは平成30年1月の法改正で変更があり、現在は自己都合退職でも待機期間経過後に支給対象となっています。

自己都合退職をした人で「自分は対象外だから」と思い込んで申請しない人がいますが、対象になっているなら利用しないのはもったいないですよね。会社都合退職の人と同じようにすぐに利用できますので、きちんと申請しておきましょう。

1年以上の雇用である

就職先の雇用が1年未満の短期雇用だった場合には、雇用保険の移転費を使って引越しすることはできません。ハローワークなどでも3〜6ヶ月程度の期間工の求人もあり、その場合には引越し費用の申請ができませんので気をつけましょう。

期間工として働きたいけど引越し費用がないという場合には、入社祝い金などを用意している派遣会社経由での応募がおすすめです。

賃貸物件の契約費用は自己負担

移転費では交通費や家財の運搬費を支給してもらえますが、賃貸物件の契約費用は自己負担になります。賃貸物件を借りるときには、下記のような費用が発生し、思った以上に高額な出費になります。

  • 敷金
  • 礼金
  • 前家賃
  • 仲介手数料
  • 火災保険料
  • 鍵交換費用

敷金や礼金が家賃の2ヶ月分だった場合、トータルで家賃の6ヶ月分以上の費用がかかります。家賃を8万円とすると48万円も用意しなくてはいけません。

これらを用意するのが難しい場合には、敷金礼金ゼロの物件や家賃が数カ月分無料になるフリーレント物件を選び、引越し費用を抑えましょう。

引越し費用は自分で仮払いが必要

引越し費用を受給するための手順でもお伝えしましたが、引越し費用が支給されるのは引越しが完了してからですので、交通費や引越業者に支払う料金は自分で仮払いしなくてはいけません。家財の量や移動距離によっては、かなり高額な金額になりますので気をつけましょう。

あまり貯金がない場合には、引越し一括見積もりサイトを利用しての引越業者選定がおすすめです。1社だけに見積もり依頼すると、ほとんどの業者が相場よりも高い料金を提示してきますが、このサービスを使って相見積もりにすれば、業者間での競争により相場以下の料金を提示してくれます。

引越料金を抑えることで、移転料を賃貸物件の初期費用に充てることもできます。結果的に自己負担額を抑えることができますので、1社に依頼して言い値で引越しするのではなく、引越一括見積もりサイトを利用して格安料金で家財を新居まで運んでもらいましょう。

まとめ

雇用保険は失業手当てを受け取れるだけでなく、遠方に就職するときには「移転費」として引越し費用を受給することもできます。移転費の内訳は交通費と家財の運搬費、そして着後手当となっており、ハローワークの所長が認めた場合に支給してもらえます。

申請できるのは引越しをしてから1ヶ月以内ですので、引越業者に支払う運搬費は自分で仮払いする必要があり、賃貸物件の初期費用は移転費に含まれないため完全に自己負担となります。引越しをする際にはまとまった額のお金が必要になりますので、気をつけてください。

支給される条件が少し複雑で、受給できると思ったら対象外だったということもありますので、引越しが必要となる遠方の会社に就職する場合には、事前にハローワークの雇用保険窓口で相談しておくのがおすすめです。