引越し先で喉の痛みを感じたらどうすればいい?シックハウス症候群の原因と対策

新築マンションや建てたばかりの持ち家への引っ越しをしたものの、生活を始めてみたら喉の痛みを感じるなど、体調不良になることがあります。ただの風邪かと思っていて放置していたら、回復するどころか調子がさらに悪くなり、頭痛もひどくなるなんてことがあります。

このようなことが起きるのには、もちろん理由があります。そこでここでは、引っ越し先で喉の痛みに悩まされる理由と、その対策について詳しく解説していきます。すでに引っ越しをしたという人も、これから引っ越しをするという人も、ぜひ参考にしてください。

引っ越し先で喉が痛くなったらシックハウス症候群?

引っ越しをしてしばらくして、喉の痛みや頭痛、吐き気などに悩まされるようになったら、それは「シックハウス症候群」かもしれません。シックハウス症候群は断熱性の高い住宅で起きやすいトラブルのひとつで、建材などから発せられる化学物質が充満した部屋で生活することで、上記のような症状に悩まされることになります。

新築の住宅は接着剤や塗料などが、完全に乾ききっていないため、そこに含まれている有機溶剤や揮発性有機化合物が空気中に排出され、それを吸った人が体調不良を感じるというわけです。このため、一般的には新築物件で起こりやすい症状とされています。

発症するかどうかには個人差がありますが、基本的には室内に滞在する時間が長い人ほど、発症しやすい傾向にあります。具体的には高齢者や未就学児、主婦の方などがシックハウス症候群になりやすいとされています。

シックハウス症候群の症状

シックハウス症候群だった場合には、喉の痛み以外にも下記のような症状が発生します。

涙目・目がチカチカする
刺激感・乾燥・鼻水
くちびるの乾燥・せき
のど喉の乾燥
紅斑(こうはん)・蕁麻疹・湿疹・かさつき
その他めまい・吐き気・嘔吐・頭痛・疲労感

もし喉の痛みに合わせて、これらの症状が出ているようなら、シックハウス症候群になっている可能性がたかく、早急に対応する必要があります。

シックハウス症候群はいつまで続く?

シックハウス症候群になった場合、「少し我慢したら落ち着いてくるかもしれない」と期待している人もいるかもしれませんが、残念ながら新築物件の場合、シックハウス症候群が落ち着くまで4〜5年かかるとされています。

もちろん個人差もありますし、住宅によっても異なります。しかもシックハウス症候群の原因は建材などから出る化学物質だけとは限りませんので、長期化することも考えられます。いずれにしても、数ヶ月で改善されるというわけではないということを、しっかりと頭にしれて追いてください。

シックハウス症候群を引き起こす3つの原因

シックハウス症候群の原因は、建材などから出る化学物質だけではないとお伝えしましたが、そうなると他にどんな原因が考えられるのか気になりますよね。対策する場合も、まずはしっかりと原因を把握する必要がありますので、ここではシックハウス症候群がなぜ起きるのかについて解説していきます。

一般的にシックハウス症候群を引き起こす原因は次の3点とされています。

  1. 建材から排出される化学物質
  2. カビやダニ
  3. 高気密住宅

それぞれの理由について、詳しく見ていきましょう。

建材から排出される化学物質

現代の住宅は内装材や建具の建材に、接着剤や塗料、溶剤などが使われています。さらに家具やカーテン、壁紙、殺虫剤などにもそれらが使われていて、常温で気化するといった特性があります。このため、新築の部屋には目に見えない化学物質が充満していることになります。

ちなみにシックハウス症候群を引き起こす化学物質には、下記のようなものがあります。

  • ホルムアルデヒド
  • アセトアルデヒド
  • トルエン
  • キシレン

いずれも少量であれば、それほど気にならないのですが、新築物件の場合、あちこちからこれらの化学物質が排出され続けるので、人によっては喉の痛みなどを感じることになります。

カビやダニ

シックハウス症候群というと化学物質ばかり注目されますが、カビやダニも原因となります。住宅内にはたくさんのカビやダニが発生しており、たとえばエアコン内には無数のカビが生息しています。その状態でエアコンを稼働させると、当然私たちはカビを吸い込むことになります。

ダニも同じで部屋中にあるダニの死骸が、エアコンなどの風で巻き上げられ、知らないうちに吸い込んでしまいます。カビやダニを吸い込んだことでアレルギーを発症する人もいますし、シックハウス症候群になってしまう人もいます。

気をつけなくてはいけないのが、カビやダニは新築物件以外でも発生するということです。シックハウス症候群対策として比較的築年数が経過している住宅を選んでも、カビやダニが原因で発症する可能性があるということを覚えておきましょう。

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高気密住宅

直接的に高気密住宅がシックハウス症候群の原因になるわけではありませんが、高気密住宅の場合には、気化した化学物質やカビ、ダニの死骸などが部屋に滞在し続けてしまうため、いつまで経っても症状が改善されないといった問題が発生します。

最新の住宅はいずれも24時間換気機能を備えているため、システムを稼働させていれば問題ありません。ただし何らかの理由で換気システムを止めてしまうと換気が十分にされず、シックハウス症候群を引き起こす可能性があります。

喉の痛みを緩和するためのシックハウス症候群対策

ここまでの説明で、シックハウス症候群がなぜ起こるのかを把握できたかと思いますが、本当に知りたいのは、その対策ですよね。そこでここでは喉の痛みを解消するために、何をすればいいのかについてご紹介していきます。

こまめに部屋を換気する

建材や壁紙、家具などから化学物質が排出されるのを止めることはできませんので、それらの化学物質が部屋の中に留まらないように、こまめな換気を心掛けましょう。24時間換気システムを導入しているなら、そちらを利用するのもOKですが、1日数回、窓を開けて空気を入れ替えるだけでも構いません。

新居に引っ越しする場合には、荷物を搬入する前に空気の入れ替えを何度かしておいてください。ただし、花粉の季節に窓を開けると、今度は花粉症に悩まされることにもなります。そのようなケースではフィルター式の空気清浄機を導入するのがおすすめです。

部屋を掃除する

カビやダニの対策として有効なのが、定期的に部屋の掃除をすることです。カビを発生させないように水回りをしっかりと乾燥させたり、ダニの死骸を取り除くために毎日掃除機をかけたりすることで、カビやダニによるシックハウス症候群を予防できます。

また夏場の湿度もカビやダニが活発的になる原因のひとつですので、夏場は除湿機やエアコンの除湿機能を使うなどして、部屋の湿度が60%を超えないように調整しておきましょう。もちろんエアコンも定期的に掃除して、清潔な状態を維持してください。

F☆☆☆☆表示の家具に買い替える

建材だけでなく家具からも化学物質が発散されているとお伝えしましたが、これらの家具を化学物質が発散されにくいものに変えることで、シックハウス症候群の対策が可能になります。具体的にはF☆☆☆☆表示の家具を選んでください。

F☆☆☆☆は「エフ・フォースター」と呼ばれ、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドの発散量がとても少ない家具であることを示しています。100%カットできるわけではありませんが、通常の家具よりも安全性は高く、シックハウス症候群の対策としておすすめです。

シックハウス症候群以外に考えられる喉の痛みの原因と対策

シックハウス症候群は引っ越し後に喉が痛くなる原因ではありますが、下記のような理由も喉の痛みにつながります。

  • 引っ越し作業中にホコリを吸い込んだ
  • 引っ越しの疲労による体調不良
  • 環境の変化に対するストレス

それぞれの原因と対策について詳しく見ていきましょう。

引っ越し作業中にホコリを吸い込んだ

引っ越し作業は埃が舞う中での作業になるため、知らないうちに大量のホコリを吸い込んでしまい、翌日以降に喉が痛くなることがあります。シックハウス症候群との違いは、数日すれば回復するという点ですが、喉が痛くてつらい状態であることには変わりありません。

そうならないためにも、荷造りの段階から新居に荷物を搬入して空気が落ち着くまでは、できるだけマスク着用を心掛けて作業してください。

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引っ越しの疲労による体調不良

引っ越しは想像以上に体力を消耗し、特に遠方への引っ越しにもなると移動するだけでも疲れ切ってしまいます。自分のペースで手続きなどができるならいいのですが、ほとんどの人が作業を詰め込むことになるため、人によっては風邪をひいて喉が痛くなります。

まずは作業や手続きをするときに、こまめに休憩を入れて体を休ませてください。睡眠時間もしっかり確保しましょう。夏場は水分補給も忘れないようにするなど、とにかく体のケアをしながら引越作業や手続きを進めるよう心掛けてください。

環境の変化に対するストレス

人によっては環境の変化に馴染むのに時間がかかり、新居での生活にストレスを感じてしまうことがあります。ストレスで食欲が落ちたり、睡眠の質が下がったりしたけっか、体調不良から喉が痛くなるというケースも考えられます。

これに関しては即効性のある対策はなく、新生活に時間をかけて慣れていく必要があります。家族での引っ越しの場合には、いつも以上にコミュニケーションの時間を増やし、それぞれがストレスを抱えないで済むように支え合いましょう。

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喉の痛みが消えない場合にはお医者さんに相談しよう

引っ越し後に喉の痛みが発生しても、生活や仕事に支障をきたすことがなければ、ほとんどの人が放置して自然治癒を目指すかと思います。実際にホコリが原因であれば、数日で喉の痛みはなくなりますが、シックハウス症候群だった場合にはそうもいきません。

深刻な状態になるのを回避するために、1週間以上喉の痛みが続くなら、内科もしくはアレルギー科でなどで相談してください。ただし、シックハウス症候群は一般の病院での治療方法などが確立されていません。このため、他の病気のように薬で回復させるということができず、結局は生活環境を見直すことになります。

それだと意味がないと思うかもしれませんが、シックハウス症候群なのかどうか判断してもらえるだけでも、その後の対策が決められるなどのメリットがあります。症状を改善するための対策を正しく行うためにも、まずは病院でしっかりと診てもらいましょう。

まとめ

引っ越し直後から喉の痛みが続いていて、それが長期化するようですと、もしかしたらシックハウス症候群になっている可能性があります。シックハウス症候群は新築物件で起こりやすい症状ですが、カビやダニが原因となることもあり、築年数が古い物件でも発生します。

喉の痛みが続くようでしたら、まずは病院で診てもらいましょう。シックハウス症候群と判断されたら、こまめな換気や空気清浄機の導入などで、室内から化学物質を取り除いてください。さらには定期的に部屋の掃除や湿度管理も有効です。

ただ、シックハウス症候群の症状は個人差も大きく、人によってはこれらの対策をしても4〜5年ほど悩まされる可能性もあります。とても耐えられそうにないなら、お金はかかりますが、再度の引っ越しも選択肢に入れておきましょう。