カビが原因?カビを吸い込んだ場合の症状・咳が出た時の対処方法を解説

カビによるアレルギー反応で起こる咳、痰には抗生物質が効きません。カビは軽度のアレルギー性鼻炎から重度の喘息や肺炎まで様々な病気を引き起こします。

そもそもカビってどういうものなのか、家にカビを発生させないための対策などを理解したうえで、カビによる病気に掛からないようにしましょう。

カビを吸い込んでいませんか?

知らないうちにカビを吸い込んでいるケースも考えられます。ここでカビが発生しやすい条件と場所を紹介します。

カビが発生する条件

カビを説明するうえでまず知っておくべき言葉は「胞子」と「菌糸」です。かび胞子は私たちの生活のあらゆる所に存在していて、風などに吹かれて至る所に付着します。

そこで発芽し菌糸を形成し、また胞子を作り出していくのです。

そして、カビが好物とする条件のひとつに「温度」があります。カビが好きな温度は20度~30度と言われていて、25度が一番繁殖しやすいそうです。

ただ、それ以下の低い温度を好むものもいるので、冷蔵庫内など食品のある場所に繁殖する事もあるようです。

逆に暑さには弱いようで、30度を上回る時期には発生しにくいという性質もあります。

温度以外で好きな環境が「湿気」です。カビが好む湿度は80%と言われています。日本では梅雨などの季節は湿度も高くなるので、カビが生える好条件が揃いやすいそうです。

また、雨に濡れた傘を室内で放置していても湿度が高くなると言われているので、傘は出来るだけ外で乾かした方がいいでしょう。

カビは何からできているのかというと、たんぱく質やアミノ酸、脂肪などさまざまな成分で出来ています。

そして菌糸が着地した物の内部に伸ばしていくことで、それらの栄養を吸収していくのです。

カビは植物、動物、それらの排泄物や死骸など、あらゆるものを分解して自分のエネルギーとして生きていくのです。

カビが発生しやすい場所

カビが生えやすい場所は?と訊かれたら、まず浴室が一番先に出てきませんか?温度も湿度もカビにとっては申し分なく、垢や石鹸カスなどの養分も揃っているので、カビが多く発生しやすい場所です。

それに次いで、キッチンのシンク周りや冷蔵庫、窓サッシ、エアコン内部、家具の裏や下駄箱と誰もが納得する場所なのですが、布団やソファ、カーテンなどの人がよく触れるファブリック系もカビが発生しやすいようです。

家の中のあらゆるところにカビがあると思っていいのかもしれません。

アレルギー等病気の原因になる

カビの種類とそのカビが原因で起こる主な病気は以下の通りです。

マラセチア菌マラセチア毛包炎、脂漏性皮膚炎
白癬菌水虫、いんきんたむし
カンジダ口腔カンジダ症、膣カンジダ症、皮膚カンジダ症
アスペルギルス・フミガートス気管支肺アスペルギルス症
トリコスポロン夏型過敏性肺炎
クリプトコッカスクリプトコッカス症

この病気の他にもカビに対してアレルギー反応(アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性皮膚炎)を起こす場合があります。

カビを吸い込むとこんな症状が出る

カビをもし吸い込んでしまった場合は、どのような症状が見られるのでしょうか。詳しく説明していきます。

風邪に似た症状

カビ感染症の症状

咳、痰、のどの痛み、声枯れ、鼻水、鼻づまり、蓄膿症、慢性鼻炎、慢性喉頭炎、慢性扁桃腺炎、 慢性気管支炎 、喘息、耳鳴り、耳のつまり感など

症状が風邪と良く似ているため、風邪と間違えられやすいです。

ただ、カビ感染症は微熱は出ることはあっても高熱はほとんど出ません。

抗生剤の服用を何度も繰り返した人やステロイドを頻繁に使用している人、癌や悪性リンパ腫、白血病などの基礎疾患のある人に多く見られます。

抗生剤のあまり効かないうえに、頻繁に繰り返す慢性喉頭炎や慢性扁桃腺炎、風邪の後にいつまでも続くのどの痛みや咳・痰に悩まされている人や、ジメジメした日に調子が悪くなる人はカビ感染を疑ってみるべきでしょう。

注意

もしそれらの病気がカビ感染だったしたら、抗生剤の使用は菌交代症(病原菌を抑制してくれてた良い菌まで失う)を誘発してしまうので、薬になるどころか、かえってカビ感染症を憎悪させてしまうので注意が必要です。

夏型過敏性肺炎

身の回りの有機あるいは無機のちりほこりを繰り返し吸い込んでいるうちに、これらの物質にアレルギー反応を起こして発症する肺炎のことを 過敏性肺炎と言います。

過敏性肺炎は様々な物質により起こり、現在では50以上もの過敏性肺炎が知られています。

その中のひとつに夏型過敏性肺炎があります。これは、高温多湿が続く6月~10月頃に発症する病気で、酵母カビの1種であるトリコスポロンの胞子を吸い込むことで、アレルギー反応が肺で起こります。

トリコスポロンの胞子を吸入した4~6時間後、発熱、痰の絡む咳、呼吸困難が起こります。

徐々に咳の症状が強くなってくる急性型、少量のカビを吸い込み続けて、咳が数週間も続いて呼吸が苦しくなったりする亜急性(徐々に進行するタイプ)、急性を繰り返していく慢性型に分かれます。

古い木造の家で湿気が多く日当たりが悪い状態で多く発生し、西日本に多く、30~40歳代の女性に多い病気です。

真菌症

人間には免疫力があるので、健康であればカビの胞子が体内に入っても、すぐに真菌症に侵される事はありません。

しかし、高齢者や子供、何らかの病気を持っている人、ストレスなどで免疫力が低下している人では、真菌感染症になりやすくなります。

特に、ステロイドを長期に使用している人、糖尿病や癌、白血病、悪性リンパ腫などの基礎疾患を持つ人は、カビの感染により死に至ることも多いそうです。

カビは花粉と比べても小さく、肺まで吸い込まれやすいので、アレルギー性喘息などのアレルギー反応が起こりやすいのです。

死に至る事もある喘息

群馬大学医学部教授によると、喘息は鼻をつまんだ状態で細いストローで呼吸をしている状態だといいます。

酸素が十分に取り込めず、低酸素状態になります。低酸素は中枢神経にダメージを与えるので、早急に対処しなければ命の関わることがあります。

喘息での死亡例は、死亡前の喘息発作は必ずしも重度のものではなかったという報告があります。軽度や中等度の喘息でも死亡例は多数あるのです。

喘息を侮らず、処方された薬で発作がうまくコントロールできない場合は必ず主治医に相談しましょう。

咳が出たらどうすればよいの?

カビが原因かもしれない咳が出た場合、病院へ行き治療をしてもらうのですが、それと同時に原因になっているカビの除去も同時進行で行わなくてはいけません。

病院へ行く

前述したように、咳や鼻、喉の症状がいつまで経っても治らない、ジメジメした日は症状がさらに悪化するなど、心当たりがある人は迷わず医療機関を受診しましょう。

受診すべき診療科は呼吸器内科が良いのですが、お住まいの地域によっては呼吸器内科がない場合はお近くの内科を受診し、必要に応じて総合病院などの呼吸器内科に紹介状を書いてもらうと良いと思います。

検査を受ける

呼吸器内科、または一般の内科では呼吸器に症状がある場合は、診察での胸部聴診が基本です。

この時、医師にはマジックテープをはがす時に聞こえるようなパリパリという雑音が聴こえます。診察により、医師の判断で胸部レントゲンや胸部CT、血液検査などを受けることになります。

胸部レントゲン写真とCTではスリガラス様の淡い陰影が見られます。また、血液検査では白血球増加、血沈亢進、CRP陽性(炎症の有無が分かる項目)などの所見が見られ、血液中の酸素が低くなり、肺機能検査では肺活量低下、肺拡散能低下が見られます。

治療を受ける

治療は自宅から離れ、原因となっているトリコスポロンを吸入する環境から隔離することが必要です。

それだけでかなり改善しますが、症状が重い場合はステロイド薬を服用する必要があります。

治療薬は主に吸入ステロイド薬や、気管支拡張剤、抗アレルギー薬等が使用されることが多いです。風邪薬や抗生物質、咳止めでは効果はありません。

医師に処方された薬を勝手に判断して中断する人が多くみられるようですが、このような人はアレルギー性喘息を再発しやすいと言う医師もいます。

必ず医師の指示に従って服薬しましょう。

カビを除去する

カビを除去する際は、場所によって除去方法が異なりますので詳しく説明していきます。

浴室

浴槽

少しのカビならば酢と重曹で落とすことができます。これで除去できないカビは漂白剤を使用します。しかし、酢を使った後に漂白剤を使うと有毒ガスが発生するので、しばらく経ってから漂白剤を使用してください。

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酢をカビにスプレーし、その上から重曹を振りかけてペーパーをかぶせる。
さらに上から酢をスプレーしラップで乾燥を防いだら2時間ほど放置する。
2時間後、歯ブラシでやさしくこする。

エアコン

エアコン

掃除前に必ずコンセントを抜いてから行いましょう。月に1回は行いたい掃除です。

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前面のパネルを外し、パネルとフィルターの汚れを取ります。
吹き出し口やルーバーの汚れを拭き取ります。
電源を入れて送風運転を行い、内部を乾燥させます。

窓サッシ

窓サッシ

窓のカビは比較的落としやすいですが、窓サッシのカビが頑固なことが多いので、1回できれいにならない場合は繰り返してみましょう。

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ホコリを取り除く。
カビ取り剤を染み込ませたペーパーをサッシに貼り付け、ラップで覆う。
よく水拭きをする。

カビ取り剤を使いたくないところのカビ取り(壁紙、カーテン、押入れなど)

カビを死滅させる前に雑巾などでザーッと拭いてしまうとカビを広げてしまうことになるので、気をつけましょう。

雑巾などで叩くように拭きとる

以上を参考にしてみてください。掃除をする際は、カビを直接吸わないように、マスクや手袋、換気なども忘れないようにしましょう。

カビをはやさないようにする

日頃からカビが発生しないようにするには、こまめな掃除が欠かせません。こまめに掃除することでカビを発生させないだけでなく、カビの早期発見や早期除去ができるのです。

それでも発生してしまったカビや、どうしても除去できないカビにはにはハウスクリーニングをお願いした方が良いかもしれません。

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水滴の除去など、湿気対策はカビを発生させないためには一番重要といっても過言ではないかもしれません。それくらい湿気対策は重要です。具体的な湿気対策などは以下の通りです。

湿気のたまりやすい場所は換気を必ずする

まず、お風呂場は湿気がたまりやすくカビが発生する格好の場所でもあります。

カビ対策

お風呂に入った後にドアを閉めておくと湿度が上がるので、使用後は換気扇を回すが数時間ドアを開けて換気を徹底しましょう。

もし浴室に窓がある場合はそこを開けるのもいいでしょう。ただ、脱衣所に入る時のドアは閉めておかないと、他の部屋に湿気が広がるので注意しましょう。

他には料理をする時にも換気扇をきちんとつけてから調理しましょう。加熱調理をするとどうしても温度、湿度が高くなります。換気扇を回せば湿気などが一か所に吸収され、他の部屋に移る心配もありません。

部屋全体の風通しをよくする

天気のいい日は、押し入れの戸を開けて、風通しをよくしたり、布団をしまう場合、床にすのこを敷き、左右と奥の壁からも少し離すか、すのこを立てかけたりして床と壁に空間を作って収納するようにすると、空気の流れができるので湿気対策になります。

空調機のフィルターをこまめに掃除

自宅で簡単にできることはエアコンフィルターをこまめに掃除することです。また、エアコンの洗浄スプレーが市販もされています。

しかし、頑固な汚れはエアコンのクリーニング業者に依頼しないと落とせないかもしれません。エアコンの冷房や除湿のスイッチを切る前に送風機能でエアコン内を乾燥させることでカビが発生しにくくなります。

洗濯の時には加熱処理

毎回丁寧に洗濯をしているのにカビが発生するとがっかりしますよね。もし、綺麗にしているのにカビに悩まされているのであれば、「加熱処理」を徹底してみましょう。カビは水で洗うだけでは除去されないので、例えば台所のフキンなどを水と洗剤で洗うだけでは効果がありません。洗う時には45度くらいの熱めのお湯に浸けながら洗うようにしましょう。

水気のあるものはすぐ乾燥させる

うっかり洗濯物を干し忘れてしまった時や、部屋干しをしたら、部屋全体がカビ臭くなりますよね。

このように、水気が多いと湿度が上がってカビが発生しやすくなるので、洗濯をした後などは出来るだけ早く外で干すようにしましょう。

もし部屋干しするのであれば、換気をきちんとしてから干しましょう。また、インテリアとして人気の観葉植物も、多く置きすぎると部屋の水気が多くなるので要注意です。

カビ防止は家族の健康維持に繋がる

カビについてや、カビが原因で起こる症状など解説してきました。すでになかなか治らない咳や痰で悩んでいる人、その他で心当たりのある人は呼吸器内科を受診してみてはいかがでしょうか。

今のところ症状はないけれど、家のカビが気になっているという人は、今のうちにカビを除去しておくことで、カビによる喘息や肺炎を未然に防ぐことができます。

カビをまったく発生させないのはほぼ不可能です。

こまめに掃除したり、空気が流れやすいように工夫したりすることで、できるだけカビが発生しにくい家を目指して、家族の健康を守っていきましょう。