引越しの掃除が間に合わない!引越し10回経験者が教える敷金が戻る掃除術

引越し予定日が迫っているのに、仕事が忙しくなって荷造りもギリギリ間に合うかどうか。引越し当日も、搬出後すぐに新居に向かう必要があり、とても部屋の掃除が間に合わないとなったとき、どうすればいいのかで迷っている人もいるかと思います。

ここではそのような人のために、引越しの掃除が間に合わないときの対処法や、手早く部屋をきれいにできる掃除術についてわかりやすく解説していきます。敷金をしっかり回収したいという人は、ぜひ参考にしてください。

引越し経験10回著者

ライター

重松貴志

しげまつ たかし

プロフィール

合同会社グロウファイナンシャルプラ機械設計のエンジニアとして15年ほど働いた後、2015年9月からWebメディアを中心に執筆を行っています。引越し経験10回の体験談を元に引越しに関する役立つ情報を執筆しております。不動産・金融・旅・スポーツなど幅広いジャンルの記事を手掛けており、さらに個人の活動としてランニングに関する情報発信やマラソン大会の運営なども行っています。

引越し前に掃除をしなくてはいけない理由

引越し準備で追われていて、とても掃除までは手が回らないとなったときに、

引越し者
引越し者

そもそもなぜ掃除をしなくてはいけないの?

という疑問が脳裏をよぎった人もいるかもしれません。もちろん掃除をしなくてはいけない理由はちゃんとあります。

賃貸物件は原状回復して部屋を返すというルールがあり、借りたときの状態に戻さなくてはいけません。部屋が汚れた状態で借りたのであれば、その状態のまま引き渡してもいいのですが、どの物件も基本的には掃除済みのきれいな状態で借りていますよね。

このため、借りた部屋はきれいに掃除された状態で戻さなくてはいけません。もし掃除しない状態で引き渡した場合、原状回復費用を請求され、その金額が敷金から差し引かれてしまいます。敷金が10万円で、原状回復費用が3万円なら、敷金の戻りが7万円になってしまいます。

きちんと掃除しておくだけで、その3万円も戻ってくるなら、引越し前に掃除するだけの価値はありますよね。引越し前に掃除をするのは、原状回復するという契約になっているからですが、敷金をしっかり回収するためでもありますので、必ずきれいにしておきたいところです。

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引越し前にどこまで掃除すればいい?

反対に掃除が間に合わないという問題は、お金で解決できるとも考えられます。掃除が間に合わなかったところで大きなトラブルになるようなことはなく、敷金の返還が少なくなる程度で済みますので、金銭的に余裕がある人ならそこまで焦る必要はありません。

引越し前に掃除が必要になる理由はわかったけど、どこまできれいにすればいいのかわからず困っている人もいますよね。原状回復の理屈からすれば、清掃業者に依頼するくらいのレベルにまできれいにしなくてはいけなくなりますが、それは現実的ではありません。

もちろん清掃業者が掃除するのと同等まで仕上げるのが理想ですが、私がこれまで10回以上引越しをしてきた経験からすると、

ライター
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普段の掃除に加えて雑巾がけでホコリを取り除く程度で構いません。

なぜなら、ほとんどの不動産管理会社が清掃業者に依頼して部屋をきれいにするためです。

不動産管理会社にしてみれば、素人が掃除したくらいの状態で次の入居者に引き渡した場合、その物件の評判が落ちてしまいます。そもそも内覧したときに選んでもらえないので、それを回避するために、プロがきちんと掃除してくれます。

とはいえ、まったく掃除をしていない場合には印象が悪く、敷金を全額返還しない口実にもなってしまいます。そうならないためにも、壁紙の汚れを拭き取ったり、荷物を搬出したあとに掃除機をかけ、仕上げに雑巾がけをしたりしておきましょう。

管理会社によっては掃除機をかけるだけでOK

実は不動産管理会社によっては、そもそも掃除をほとんどしなくてもいいケースがあります。それは賃貸契約書に「ハウスクリーニング代は借主負担とする」となっているケースで、この場合には退去後に行われるハウスクリーニング費用が敷金から強制的に差し引かれます。

自分の負担でハウスクリーニングが行われ、しかも金額がすでに契約で決まっているわけですから、退去前にわざわざ時間をかけて自分で掃除する必要はありません。ただし、その不動産管理会社をいつかまた利用する可能性もあるわけですから、良い印象を与えるためにも掃除機くらいはかけておきましょう。

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ちなみに私が借りているアパートは、家賃が1.7万円で敷金が家賃1ヶ月分。初期費用を抑えられたのですが、退去時のハウスクリーニング代として3万円かかる契約になっています。

このため、敷金は戻ってこないどころか、マイナスになることがすでに決まっています。

引越しに間に合わないときの掃除術

賃貸物件によっては、そこまで掃除が重要ではないケースもありますが、まだ原状回復を求められることもあり、それなのに掃除が間に合わないとなると焦りますよね。そこでここでは、引き渡しに間に合わないと感じたときの掃除術についてご紹介していきます。

優先順位を明確にする

掃除する時間が足りない場合には、きれいにする場所の優先順位をつけ、優先度が高い場所から掃除していきましょう。優先度が高いのは汚れが目立つ場所で、それはそのまま厳しくチェックされる場所になります。

立ち会いでチェックされる項目のうち代表的なものは下記になります。

  1. 部屋の床と壁
  2. 浴室の床と壁
  3. タバコの匂いや黄ばみ
  4. 排水口周辺
  5. キッチン周り
  6. 備え付けの設備

どの不動産管理会社でも部屋や浴室の床と壁はチェックされ、あわせてタバコの匂いや黄ばみがないかも確認されます。ただ、タバコの黄ばみなどは掃除で落ちるものではありませんので、時間がないときにはそのままにしておくのが1番です。

まずは部屋をきれいにしておくこと。そして、次に浴室とキッチン周りを優先的に掃除しておきましょう。可能であればそれらの排水口に付着したぬめりを落としておくことで、印象が良くなります。

効率的に掃除できる道具を活用する

部屋の床掃除は掃除機をかければ済むので、すべての荷物を搬出した後に掃除すれば10分もかかりません。ただ、子どもが部屋の壁に書いた落書きを消したり、浴室のカビを取り除いたりしようとすると、それなりに時間がかかってしまい、引き渡しに間に合わなくなる可能性があります。

そういう場合には、効率的に掃除できる道具を積極的に活用していきましょう。

水+スポンジ・歯ブラシ・メラミンスポンジ

クレンジングオイル+タオル

水+メラミンスポンジ

エタノール・クレンジングオイル+メラミンスポンジ

ジェルタイプのカビ取り+ラップ

クイックルワイパー

マグネット式両面ガラスクリーナー

このように用途ごとに適した道具が違いますので、すべてを買い揃えるのは大変かもしれませんが、すべてネットショップで購入できるものばかりです。早めに購入しておき、時間のあるときにスキマ時間を利用してこまめに掃除を進めておきましょう。

見積金額で清掃業者に任せるか決めよう

引越しまでに掃除が間に合わないとき、掃除のプロに任せるという選択肢もあります。原状回復のための掃除が必須で、どうしても時間を確保できない場合にはもちろん有効ですが、金額によっては、掃除のプロに依頼したことでむしろ損することもあります。

たとえばダスキンのグランサービスを東京で利用した場合、2時間の掃除で42,900円かかります。これに対して退去時のクリーニング代としての差し引きが3万円だった場合には、1万円以上も多く払っている計算になります。

このようなことにならないように、プロに掃除をお願いする場合には、どうしても自分できれいにできなかった場所に絞るのがおすすめです。浴室のカビやトイレの黄ばみだけ落としてもらうようにすれば、出費を最小限に抑えられます。

ただし、ハウスクリーニングのプロに依頼するときには、事前に不動産管理会社や大家さんに相談しておきましょう。相談せずに業者に依頼した結果、掃除不十分として掃除費用を請求されてしまう可能性があります。そうなると2重の出費になってしまいますので、必ず事前に相談してから依頼してください。

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敷金を返還してもらうための交渉術

部屋の掃除が間に合わない場合には、敷金の返還額が減ってしまうのは仕方のないことですが、ハウスクリーニング費用があまりにも高額で、敷金が戻ってこないどころか費用を追加請求されるケースもあります。

ただし、そのようなケースであっても、交渉次第で敷金を返還してもらえることもあります。どのように交渉すればいいか、その方法についてご紹介します。

契約内容をきちんと理解する

交渉の前にまずは、賃貸借契約書の内容をきちんと理解しておきましょう。退去する場合のクリーニングについて記載されていますので、どのような状態だとクリーニング費用が発生するのかを確認してください。

最初からクリーニング費用が定められている場合には、原則としてその費用は敷金から差し引かれてしまい、これを避けることはできません。契約を結んだということは、支払いを約束しているわけですので、この場合は敷金の全額返金は諦めてください。

賃貸借契約書にクリーニング費用の具体的な金額について記載がなく、ただ借主負担になるとしている場合には交渉の余地があります。まずは、賃貸借契約書の内容がどちらになっているのかを確認しましょう。

不適切な請求を指摘する

賃貸借契約書にクリーニング費用の金額が明記されておらず、ハウスクリーニング費用として納得できない金額を請求された場合、費用の明細を出してもらいましょう。不動産管理会社や大家さんは明細を明らかにする義務があるので「明細を出してください」とお願いしてください。

このとき「専門家に相談するので……」と付け加えておくと、その時点でクリーニング費用を減額してもらえる可能性があります。減額されない場合にも、明細をチェックすれば、ほとんどのケースで不適切な項目があるので、そこを指摘すれば減額してもらえます。

  • 床やカーペットの凹み
  • 家電裏の電気焼け
  • 画鋲の穴
  • 壁紙や畳の変色

これらに対する修繕費用は貸主負担となるため、請求項目に含まれていた場合には対象外であることを指摘できます。もし自分の過失によって設備に損傷が発生したとしても、設備を導入してからの経過年数を考慮して支払うことになるので、全額負担することもありません。

たとえばジュースをこぼしてカーペットを汚したとします。この場合の原状回復責任は借主負担にあるのですが、カーペットの耐用年数は6年ですので、6年以上暮らしている場合には貸主負担で交換になります。6年未満であっても減価償却を考慮した負担額になるので、全額負担となっている場合には、指摘対象となります。

このような判断をするためにも、まずは何にいくらかかるのかを把握する必要がありますので、納得できない金額の請求があった場合、必ず明細を出してもらいましょう。

高額な請求をされた場合には専門家に相談する

明細を出してもらっても内容が理解できないという人や、不適切な請求を指摘しても減額してもらえず高額な請求をされた場合には、専門家に相談してみましょう。この場合の相談相手としておすすめなのが下記になります。

ただし、証拠もない状態で相談するのではなく、まずは不当に高額であることを証明した上で相談してください。具体的には原状回復工事業者やハウスクリーニング業者に、原状回復にどれくらいの費用がかかるのかを見積もってもらいましょう。

その金額が不動産管理会社や大家さんの請求額とかけ離れていることを確認した上で、上記のいずれかに相談してください。

まとめ

引越し当日までに掃除が間に合わないとなると、かなり焦ってしまいますが、最近はハウスクリーニング費用を借主負担にする契約になっているケースがほとんど。このため、部屋をピカピカにして退去する必要はなくなっています。

時間とお金をかけて掃除しても、ハウスクリーニング費用を請求されるわけですから、掃除は荷物を搬出した後に掃除機をかけて、クイックルワイパーを使って床を拭く程度で問題ありません。ただし、原状回復のための掃除が必要なケースは、優先順位をつけて掃除をしていきましょう。

どうしても掃除する時間を確保できないのであれば、専門業者に依頼するのもありですが、割高になるケースもあるのでご注意ください。また、2重の支払いになるのを避けるため、専門業者に依頼する前に必ず不動産管理会社や大家さんに連絡しておきましょう。