引越し費用を市役所で借りる!国から借りるメリットとデメリット解説

就職のために引越しをしなくてはいけないけど、貯金がまったくなくて業者に依頼することもできない。そういうときに頼りになるのが市役所です。市役所には生活基盤を築くための様々な支援制度があり、それらを活用して引越しが可能です。

ただし誰でも利用できるというわけではなく、さらにはデメリットもあるため、すべての人におすすめというわけではありません。そこでここでは、引越し費用を市役所から借りることができる制度と、そのメリットとデメリットについて解説していきます。

引越し費用を市役所で借りるための制度

まずは引越しをするのにお金がないときに、市役所で引越し費用を借りることができる制度についてご紹介します。

  • 生活福祉資金貸付制度:住宅入居費
  • 母子父子寡婦福祉資金貸付金:転宅資金
  • 年金担保融資
  • 移住支援制度

これら4つの制度を使うことで、引越し費用を市役所で借りることができます。それぞれに利用条件がありますので、どのような人が制度を利用してお金を借りられるのか、詳しく見ていきましょう。

生活福祉資金貸付制度:住宅入居費

生活福祉資金貸付制度は低所得者や障害者、高齢者の生活を支える制度です。この制度の「住宅入居費」が引越し費用として利用できます。

◆貸付対象
・離職・減収によって日常生活全般に困難を抱えた世帯
・貸し付けによって自立が見込まれる世帯

◆貸付上限
・40万円以内

◆用途
・敷金・礼金など
・入居時に支払いする賃料・共益費・管理費
・不動産仲介手数料
・火災保険料
・運送費
・その他の経費

◆窓口
・市区町村社会福祉協議会

生活福祉資金貸付制度を利用するためには、市区町村社会福祉協議会に相談する必要があります。市区町村社会福祉協議会は市役所もしくは市の施設内にあり、お住まいの地域の市区町村社会福祉協議会の所在地は下記サイトで調べることができます。

全国の社会福祉協議会一覧

母子父子寡婦福祉資金貸付金:転宅資金

20歳未満の児童を扶養している配偶者のない女子または男子(母子家庭・父子家庭)、寡婦などに対して貸し付けを行う制度で、いくつかある資金のうち「転宅資金」を引越し費用として利用できます。

◆貸付対象
・母子家庭の母
・父子家庭の父
・寡婦

◆貸付上限
・26万円

◆用途
・敷金
・前家賃
・運送費

◆窓口
・地方公共団体の福祉担当窓口または福祉事務所

利用するためには、まず地域の相談窓口で相談する必要があります。市役所の児童福祉所管課や県の保健福祉事務所が窓口になっています。自治体ごとに窓口が違いますので、まずは市役所に問い合わせてみましょう。

年金担保融資

年金担保融資は国民年金や厚生年金などの年金を担保にしてお金を借りることができる制度で、引越し費用として借りることも可能です。

◆貸付対象
・年金受給者(国民年金・厚生年金・船員保険年金)

◆貸付上限
・10万円~200万円
・受給している年金の0.8倍
・1回あたりの返済額の15倍以内

◆用途
・保健・医療
・介護・福祉
・住宅改修
・冠婚葬祭
・生活必需物品の購入
・引越し費用

◆窓口
・年金を受け取られている銀行、信用金庫等の店舗

年金担保融資の窓口は市役所ではなく、年金を受け取っている銀行や信用金庫の店舗になります。また、この制度は2022年3月で新規の申し込みが終了します。それ以降は生活福祉資金貸付制度を利用することになります。

移住支援制度

貸し付けではありませんが、自治体によっては移住を推進しており、移住支援制度として引越し費用をや家賃などを補助してくれることがあります。例えば福島県白河市では、移住者の運送費など、引越業者等に支払った経費を最大20万円まで補助してくれます。

地方創生のサイトで都道府県・市区町村の総合的な移住等の窓口を調べることができますので、引越し先が該当しているかどうか引越し前に調べておきましょう。

地方創生

引越し費用を市役所で借りるメリット

引越し費用を市役所から借りるメリットは下記の4点です。

メリット
  • 無利息もしくは低金利で借りられる
  • 返済開始までに据置期間がある
  • 返済期間が長く生活費を圧迫しない
  • ブラックリスト入りしていても利用できる

それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。

無利息もしくは低金利で借りられる

市役所から借りる引越し費用は、お金に困っている人を支援するための制度ということもあり、無利息もしくは低金利で借りることができます。

● 生活福祉資金貸付制度:住宅入居費
保証人あり:無利子
保証人なし:年1.5%

 

● 年金担保融資
年金担保貸付:年2.8%
労災年金担保貸付:年2.1%

 

● 母子父子寡婦福祉資金貸付金:転宅資金
保証人あり:無利子
保証人なし:年1.0%

金融機関で引越し費用として30万円借りたとすると、金利は14%前後の金利になることを考えると市役所から借りることが、いかにお得なのか分かってもらえるかと思います。

返済開始までに据置期間がある

銀行や消費者金融でお金を借りる場合には、借りた翌月から返済がスタートしますが、市役所からお金を借りる場合には、返済開始までに据置期間が設けられています。

● 生活福祉資金貸付制度(住宅入居費):6ヶ月
● 年金担保融資:なし
● 母子父子寡婦福祉資金貸付金(転宅資金):6ヶ月

年金担保融資には据置期間がありませんが、他の2つの制度は6ヶ月の据置期間があり、新居での生活が落ち着いてから返済をスタートさせることができます。もちろん据置期間を設定しても、金利が上がることはありません。

返済期間が長く生活費を圧迫しない

市役所から借りた場合、返済期間が長いといったメリットもあります。

●生活福祉資金貸付制度(住宅入居費):据置期間経過後 20年以内
●年金担保融資:2年6ヶ月以内
●母子父子寡婦福祉資金貸付金(転宅資金):6年以内

いずれも毎月の返済金額が少額で済むため、銀行や消費者金融から借りたときのように、返済に追われて、生活費が圧迫されるという心配もありません。

ブラックリスト入りしていても利用できる

金融機関からお金を借りるときには、過去に金融事故を起こしていないかどうかをチェックされます。もし滞納などをしてブラックリストに載っていた場合には、ほとんどの金融機関で審査落ちして融資を断られます。

ところが生活福祉資金貸付制度や母子父子寡婦福祉資金貸付金は過去の履歴を調べられることはなく、ブラックリスト入りしていても融資を受けることができます。

引越し費用を市役所で借りるときの・デメリット

メリットの多い市役所での貸し付けですが、残念ながら下記のようなデメリットもあります。

デメリット
  • 融資開始まで時間がかかる
  • 返済できる見込みがなければ融資不可
  • 書類にミスがあると審査に通らない

こちらもそれぞれについて、詳しく見ていきましょう。

融資開始まで時間がかかる

引越し費用を市役所で借りる場合、申請から融資開始までに最短でも1ヶ月はかかります。このため、今すぐに引越しをしたいというケースで利用できないというのが最大のデメリットになります。生活福祉資金貸付制度や母子父子寡婦福祉資金貸付金は相談から始まるため、さらに時間がかかります。

これらの制度を利用して引越しをする場合には、できるだけ早めに動き出すように心掛けてください。すぐにでもお金が必要な場合には、生活福祉資金の特例貸付である「緊急小口資金(上限20万円)」を利用しましょう。

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返済できる見込みがなければ融資不可

お金に困っている人のための制度ではありますが、完済可能であると判断してもらわないと融資を受けることができません。引越し先で仕事が決まっているのであれば融資を受けられますが、引越しをしてから職を探す場合は審査で落とされる可能性があります。

返済できるかどうかで貸し付けを行うかどうかを判断するという点は、銀行や消費者金融などと変わりませんので、必ず返済計画を立ててから、それぞれの窓口で相談しましょう。

書類にミスがあると審査に通らない

役所での手続きになりますので、書類に記載ミスがあると受付してもらえず、書類が戻されてしまいます。ちょっとしたミスでもNGとされてしまい、気持ちが折れてしまう人もいるようですが、これに関しては粘り強く対応するしかありません。

書類を作成したら自分でチェックするのはもちろんのこと、家族や友人に確認してもらいましょう。ダブルチェックを行えば、ケアレスミスでの書類差し戻しを回避しやすくなります。

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市役所で借りられなかったときの対処法

引越し費用を市役所から借りるのはハードルが高く、審査落ちすることもあります。審査期間が長くて、そこまで待てないという人もいるかと思います。そこで、ここでは市役所で借りられなかったときの対処法をいくつかご紹介していきます。

家族や友人から借りる

最もおすすめなのは家族や友人など、身近な人から借りることです。ギャンブルや買い物で使うお金を知人から借りるのはおすすめしませんが、引越し費用のようなどうしても必要なお金であれば、むしろ積極的に頼りましょう。

お金がないことを知られるのが恥ずかしくて闇金に手を出し、それが原因で破綻してしまう人もいます。おかしなところから借りるくらいなら、恥を忍んで知人に相談しましょう。借りるときには必ず借用書を作成し、1%でもいいので金利を付けておきましょう。

特に親から借りる場合に金利を付けていないと、贈与だと判断される課税の対象になることがあります。引越し費用程度で問題になることは考えられませんが、リスク回避のために金利を付けて融資を受けましょう。

クレジットカード払いに対応した引越業者に依頼する

引越業者は当日現金払いが基本ですが、最近はクレジットカード払いに対応している引越業者も増えてきました。それらの業者を利用することで、手元に現金がなくても引越しできます。一括で返済できない場合には、分割払いにすれば生活を圧迫することもありません。

ただし分割払いNGの業者もあり、さらには引越し費用が利用限度額ぎりぎりまで達してしまい、翌月までクレジットカードを使えなくなることもあります。もちろん利用限度額の範囲までしか使えませんので、利用限度額が少ない場合には最初から使えませんのでご注意ください。

後払いOKの引越し業者11選についてはこちら

クレジットカード対応の引越し業者で分割払いにする方法

カードローンを利用する

金融事故を起こしたこともなく、ブラックリストに入っていないなら、銀行や消費者金融のカードローンで借りることも選択肢に入れておきましょう。収入が少なくて審査を受ける前に諦めている人もいるようですが、融資の可否は審査を受けてみないとわかりません。

ただし銀行や大手消費者金融は審査が厳しい傾向にあるため、確実に引越し費用を調達したいのであれば、比較的審査のハードルを低めに設定している中小クラスの消費者金融で審査を受けてみましょう。

銀行から安心して借りれるサービスはこちら

所有物を売って資金調達する

どこからもお金を借りることができないときの最終手段は、自分の所有物を売って資金調達しましょう。着なくなった衣類や機種変したiPhoneなど、ひとつずつの買取価格は低くても、それらを積み重ねると、思った以上の金額になります。

所有物を売ることで家財を減らすこともできますので、引越し料金を安く抑えられるといったメリットもあります。売れそうなものはすべて売ってしまい、新生活で使う予定のないものは思い切って捨ててしまい、身軽な状態で引越ししましょう。

出費を抑えるなら引越一括見積もりサイト

市役所で引越し費用を借りるにしても、自分で調達するにしても予算が限られていますので、引越業者に支払う料金はできるだけ抑えたいところです。ところが引越業者の多くが、相場よりも高い料金を提示してくるので、安く引越しをしたいなら値引き交渉をしなくてはいけません。

でも相手は交渉のプロですので、しっかり値引きしてもらったつもりが、実はまだ相場よりも高かったなんてことがあります。そうならないためには、自分の引越し料金の相場を把握する必要があります。そこでおすすめなのが引越し一括見積もりサイトを使った見積依頼です。

複数の業者から見積もりをもらえるので引越し料金の相場がわかりますし、何よりも業者同士で競走になるため、どの業者も相場よりも安値を提示してくれます。交渉することもなく安く引っ越しができます。

ただし、一括で見積もりをするため、申込み直後に電話が殺到するというデメリットもあります。それでも見積依頼する業者を3〜5社に絞ったり、メールだけで一括見積もりが出来るSUUMO引越しで依頼したりすることで電話が鳴り止まないといったストレスを回避できます。

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引越し予算が限られていて、1円でも安く引越しをしたいのであれば、多少のデメリットは許容して、引越一括見積もりサイト経由で見積り依頼を利用しましょう。

まとめ

就職先が決まったけど、遠方で引越しが必要。それなのにお金がほとんどなく、とても引越し費用を捻出できそうにない。そういうときには市役所でお金を借りられないか相談してみましょう。

所得が少なくてお金がないのであれば生活福祉資金貸付制度の住宅入居費、母子家庭や父子家庭なら母子父子寡婦福祉資金貸付金の転宅資金を借りることができます。さらに年金受給者であれば年金担保融資を利用できます。

引越し先の自治体によっては移住支援制度があり、引越し費用を負担してくれることもありますので、こちらもチェックしておきましょう。ただし、いずれも利用できる人は限られており、誰でも使えるわけではありません。

審査期間も長く審査落ちする可能性もありますので、融資を断られる可能性があります。早めに申し込みをすることと、審査落ちしたときの資金調達方法を確保しておき、必要なタイミングで引越しできるように備えておきましょう。