引越しは台風でもやるの?大雨暴風で引越しするときの5つの注意点を解説

夏から秋にかけて日本列島は台風のシーズンになり、2014年以降は1年に4回以上も台風が上陸しています。ところが、この期間中に引越しをするという人も多く、毎年のように台風接近で引越しを延期すべきかどうかで悩まされる人が出てきます。

そもそも引越し業者が対応してくれるのかどうかもわからず、不安に感じている人もいるかと思います。そこで、ここでは台風発生時に引越しをしてもらえるのかどうか、引越しをするならどのような点に気をつければいいのかなど、詳しく解説していきます。

引越し業者から延期やキャンセルを伝えてくることはない

まず大事なポイントから伝えておきますが、台風が上陸していても基本的には引越しは行われます。引越し業者が「悪天候なので延期にしたいのですが」と申し出ることは、ほとんどないことだと考えてください。下記がその理由になります。

  • 依頼者の退去日がずれてしまう
  • 延期したときのスケジュール調整が大変
  • 依頼者から延期を申し出てもらえればキャンセル料が入る

建前と本音が混じっていますが、引越し業者はこのような理由から延期やキャンセルを自ら申し出ることはありません。それぞれの理由をもう少し詳しく見ていきましょう。

依頼者の退去日がずれてしまう

賃貸物件からの引越しの場合、引越し予定日もしくは数日以内を退去日に設定していることが多く、引越し予定日を退去日にしていた場合には、何があってもその日に退去する必要があります。延期するにしても退去日までに引越ししなくてはいけません。

退去日までに引越し業者のスケジュールが埋まっていた場合には、対応できなくなるので「お客様のことを考えて」台風であっても予定通りに引越し作業を行います。

可能な限り引越しを実行するというのが契約ですので、大雨や強風でも運べるなら運んでしまおうというわけです。

ただし、これは建前の部分が大きく、実際には残り2つが延期やキャンセルを申し入れしない本音の理由になります。

延期したときのスケジュール調整が大変

引越しを延期するということは、再度スケジュール調整をする必要があります。閑散期なら台風が去った翌日に延期というようなこともできますが、台風シーズンは引越しの繁忙期に重なっており、すでにスケジュールが詰まっているということが多々あります。

さらに依頼者の都合もありますので、リスケジュールはとても面倒な作業になります。急ぎで下請会社を手配すると割増料金を請求されることもあり、引越し業者としての利益が減ってしまいます。このような煩わしさを考えたら、台風でも強行したほうがいいと考えるわけです。

引越し作業は大変になりますが、苦労するのは現場の作業スタッフであり、引越し業者の管理者は指示するだけなので、依頼者から申し出がないかぎり、延期やキャンセルを提案することはありません。

依頼者から延期を申し出てもらえればキャンセル料が入る

引越し業者も台風での引越しが危険であることは理解していますが、業者側から延期の申し入れをするとキャンセル料が0円になってしまいます。ですので、延期にするのであれば、できるだけ依頼者からのお願いという形にして、キャンセル料を取ろうと考えます。

引越しのキャンセル料は下記のように設定されていますので、当日キャンセルなら見積金額の半額が入ってきます。引越し料金が10万円ならキャンセル料は5万円になり、さらに別の日に10万円で引越しをするわけで、大きな利益になります。

標準引越運送約款によると、キャンセル料は下記のように定められています。

注意

ただし、業者独自で決めていることや、オプションサービスは対象外の場合などもありますので、必ず依頼した業者に確認してください。

キャンセル日見積金額
当日50%
前日30%
前々日20%
3日前まで無料

引越し業者の多くが薄利多売のスタイルをとっており、取れるところから取るというのを徹底しています。キャンセル料は引越し業者にとって重要な収入源のひとつですので、それを自ら手放すことはなく、依頼者から延期やキャンセルを申し入れされるのを待っているというわけです。

当日のキャンセルについてはこちら
契約後に引越しのキャンセルはできる!上手なキャンセル方法とキャンセル後の手続き

台風の日に引越しするデメリット4選

引越し日が退去日だった場合や業者が運ぶと決めた場合には、無理にでも引越しすることになりますが、台風での引越し作業はいくつかのデメリットがあります。どのようなデメリットがあるのか見ていきましょう。

荷物が濡れてしまう

建物からトラックまでの距離が長いと、それだけ荷物が雨にさらされてしまいます。大手引越し業者はしっかりと梱包してくれるので、家具や家電などが濡れることはほとんどありませんが、あまりにも雨が強い場合には、荷物が濡れてしまう可能性があります。

パソコンなどの電化製品は雨に弱く、また桐の家具は雨に濡れてしまうとシミになります。どれだけ丁寧に運んでも、100%濡らさないで運ぶことはできませんので、対策としてできるのは、新居に運ばれたらすぐに開梱して、濡れているものがあればすぐに拭き取るようにしましょう

家電は濡れた状態で電源を入れると故障しますので、使用する前にしっかりと乾燥させてからコンセントを繋いでください。

運搬中に荷物を落としてしまう

雨の中の運搬ですので荷物が滑りやすく、重たい荷物を落としてしまう可能性があります。熟練の作業スタッフなら安心して任せられますが、アルバイトスタッフの場合には不慣れなので、どれだけ気をつけていても落とす確率が上がります。

壊れてしまった場合には保証してもらえますが、例えばパソコンのデータなどは復旧できなくなる可能性があります。本当に大切なものは業者に任せずに、自分の手で運ぶという方法も選択肢に入れておきましょう。

家が水浸しになる

作業スタッフは傘をさしながら荷物を運ぶわけではないので、搬出も搬入もずぶ濡れ状態で行うことになります。家に上がるときに毎回拭き取るわけにはいきませんし、作業スタッフは靴下まで濡れていますので、旧居も新居も水浸しになります。

運び込んだ荷物も濡れていますので、新居はさらに濡れてしまいます。台風に限らず、雨の日の引越しでは、雑巾やタオルなどを多めに用意しておき、濡れた荷物や床をこまめに拭くようにしましょう。

作業スタッフがケガをする

大きな荷物を運んでいるときに強風が吹き付けると、鍛えられている作業スタッフでも風に煽られて転倒しケガをしてしまいます。そうなると引越し作業そのものを続行できなくなりますし、申し訳ないことをしたという気持ちになってしまいます。

台風の日に引越しをする以上、これは避けようのないデメリットですので、作業スタッフにくれぐれも無理はしないように声をかけるくらいしかできません。むしろ自分自身がケガをしないように、気をつけて行動するよう心掛けましょう。

台風でも引越しをするときの5つのポイント

台風の引越しは様々なデメリットがありますが、そのデメリットも承知で引越しをする場合には、下記のポイントを意識して行いましょう。

  1. ダンボールの内側にビニール袋を敷く
  2. ダンボール箱が重たくならないように荷物を分散させる
  3. 玄関にタオルを数枚敷いておく
  4. あらかじめ荷物を玄関近くに運んでおく
  5. 搬入した荷物はすぐに開梱して濡れていないか確認する

それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。

ダンボールの内側にビニール袋を敷く

これはダメ

ダンボールが濡れてしまうのを避けるために、ダンボールをビニール袋に入れる人がいますが、これはやめてください。ビニール袋によってダンボールが滑りやすくなり、落下させる確率が上がってしまいます。トラック内でダンボールを積むのも難しくなるので、絶対に避けましょう。

荷物を濡らしたくないのであれば、ダンボールにビニール袋をかけるのではなく、ダンボール内にビニール袋を敷いて、その中に荷物を詰め込むようにしましょう。そうすることで、ダンボールが濡れても荷物を守ることができます。もちろんダンボールが滑ることもありません。

ダンボール箱が重たくならないように荷物を分散させる

台風とはいえ運搬中にダンボールを落下させてしまうのは作業スタッフの責任ですが、それで大切な想い出の品が壊れてしまった場合、それが元に戻ることはありません。

そんな悲しいことにならないようにするために、ダンボールは1箱が重くならないように荷物を分散させましょう。

例えば衣類と書籍を組み合わせることで、重たくなりがちな書籍のダンボール箱を軽くすることができます。また、壊れやすいものを衣類で包んでおくというのも有効です。備えあれば憂いなしですので、まずはダンボール1箱を軽くして、そして破損しにくい梱包を心掛けましょう。

玄関にタオルを数枚敷いておく

台風の引越しでは室内が水浸しになるとお伝えしましたが、玄関に古くなったタオルを数枚敷いておくだけで、水浸し被害を最小限に抑えることができます。また、搬出後と搬入後それぞれで作業スタッフ用にタオルを用意しておくと喜んでもらえます。

このようなちょっとした気遣いが、作業スタッフのやる気や丁寧な作業を引き出しますので、引越しをするときに捨てるつもりだったタオルがあるなら、それらを有効活用しましょう。

あらかじめ荷物を玄関近くに運んでおく

台風の日の引越しをスムーズに行うために、引越し荷物はできるだけ玄関近くに移動させておきましょう。本来であればそこまでする必要はないのですが、ダンボールなどの荷物を玄関近くに寄せておけば、作業スタッフはそれをトラックに運ぶだけで済み、部屋が水浸しになるのも防げます。

ただし、大きな家具や家電の運び出しをするときの邪魔になることもあるので、玄関から1番近い部屋にまとめておき、タイミングをみて玄関前に出してあげましょう。

搬入した荷物はすぐに開梱して濡れていないか確認する

無事新居に運ぶことができたら、できるだけすぐに開梱して中身の確認をしましょう。引越し当日は疲れているかもしれませんが、翌日に先送りしたことで、ダンボール内がずぶ濡れになって、中に入れておいたものがダメになることも考えられます。

濡れたダンボールも床にシミを作ってしまいますので、台風の日の引越しだけは搬入したものをすべて当日中に開梱し、ダンボールを畳むところまで済ませてください。

危険と感じたら延期を決断する

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ここまでの説明は、台風でも運ぶことを前提にお話しましたが、本当に危ないと感じたときには延期を決断しましょう。3日前のキャンセルであればキャンセル料は発生しませんので、台風の規模をニュースなどでチェックしながら、危険性が高いと感じたら延期できないか相談してください。

そういう意味では、台風シーズンは賃貸物件の契約完了日を引越し日に設定せずに、数日の猶予を持たせて起きたいところです。

引越し予定日

9月15日

引き渡し立ち会い

9月15日

契約完了日

9月20日

このようにしておけば、9月15日に引越しできなくても、9月20日まで退去をずらすことができます。もちろん不動産会社に連絡をする必要がありますが、

利用者
利用者

台風で引越しが延期になりました

と伝えれば、問題なく対応してもらえます。

もし延期の決断が遅れてしまった場合にも、まずは相談という形で引越し業者と話し合いをしましょう。交渉次第ではありますが、台風の勢力が強い場合にはキャンセル料はなしで延期してもらえることもあります。

ただし、ケースバイケースで引越し業者の判断も違います。引越し業者は問題なく引越しできる主張しても、自分は危険だと感じるならキャンセル料を払ってでも延期しましょう。

引越し業者を乗り換えるなら引越し一括見積もりサイト

  • 予定通り引越ししなくてはいけないのに業者が延期を申し出た
  • どう考えても危険なのに業者が決行しようとした

台風の場合には、このようなケースも考えられます。いずれの場合も調整ができないのであれば、他の引越し業者への乗り換えるという選択肢もありです。

業者から延期を申し出たけど、どうしてもその日に引越ししなくてはいけないなら、別の引越し業者に依頼するしかありません。

反対に不要不急の外出を控えるように要請され、公共の交通機関もストップして自分たちが移動できないのに業者は決行しようとし、もし延期するならキャンセル料を払うように言ってきたら、キャンセル料を払ってでも他社に乗り換えることをおすすめします。

こういうときは時間がないので、急いで他社に直接電話したくなりますが、どこが対応できるかわからないのに、闇雲に電話するのは非効率です。こういうときは引越し一括見積もりサイトを使って、見積り依頼を行いましょう。

引越し予定日がわかっているので、対応できる業者だけが連絡をくれます。しかも相見積もりの形になるので、それぞれが自社でできる最安値を提示してくれます。スムーズかつリーズナブルに業者選定ができますので、急いでいるときこそ引越し一括見積もりサイトを活用しましょう。

引っ越し一括見積もりサイトついて詳しくはこちら

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まとめ

台風での引越しは、台風の勢力にもよって業者の判断が違いますが、基本的には業者から延期やキャンセルを申し出てくることはありません。多少の豪雨なら作業スタッフを増やすなどして、スムーズに引越しをしてもらえます。

このため、台風が接近し引越し当日にぶつかりそうなら、悪天候でも荷物を運びやすいような梱包を心がけましょう。荷物はダンボールに直接入れるのではなく、ビニール袋で包むようにしてダンボールに入れましょう。ダンボール箱が重たくなりすぎないような工夫も必要です。

それでも台風の引越しは危険で、荷物の破損や人がケガをする可能性もあります。大事なのは安全に引越しを終わらせるということですので、あまりにも危険だと感じたら引越し業者に相談し、キャンセル料を払ってでも延期してください。

ただし、あまりにも理不尽な対応をされるようであれば、延期ではなくキャンセルし、引越し一括見積もりサイトを使って引越し業者を乗り換えることも検討しましょう。