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引っ越しは家賃の6倍以上の費用がかかるとされており、家賃が10万円だった場合にはトータルで60万円以上もかかってしまいます。家具や家電を新しいものに入れ替えようとすると、さらに出費がかさんでしまいますので、貯金がない人はお金を借りて引っ越すことになります。
そんな高額な費用が発生する引っ越しですが、実は国や自治体の給付金を使うことで引っ越し費用を大幅に抑えることができるケースがあります。ここではどのような給付金があるのかをご紹介し、利用する上での注意点もあわせて解説していきます。
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引っ越し費用として利用できる給付金まとめ
それではまず、どのような種類の給付金があるのかについて見ていきましょう。給付金ごとに給付対象や給付金の用途が違いますので、自分の引っ越しで適用できるかどうかチェックしてください。
住居確保給付金
会社を辞めたり自営業を廃業したりして収入減となった結果、住宅を喪失した人や喪失する可能性がある人を対象に、家賃相当額を支給してくれる制度です。引っ越し費用に対して給付されるわけではありませんが、最長9ヶ月分の家賃を支給してもらえます。
給付対象
・離職・廃業後2年以内である or 離職・廃業と同程度まで収入が減少している
・直近の世帯収入合計額が基準額と家賃の合計額を超えていない
・世帯の預貯金合計額が基準額の6ヶ月分以下(100万円が上限)である
・ハローワークで求職活動を誠実に行っている
※基準額は自治体ごとに違います
用途
・家賃
給付金額
・申請月の世帯収入額が基準額以下:家賃額
・申請月の世帯収入額が基準額を超える:「基準額+家賃額」から世帯収入額を引いた金額
※自治体ごとの上限あり
給付期間
・原則3ヶ月(最長9ヶ月)
ハローワークの移転費
雇用保険の受給資格者が、ハローワークや特定地方公共団体、または職業紹介事業者の紹介で就職をしたり、職業訓練を受講したりするのに、住所を変更する必要があると判断されると、移転費としてその費用が給付されます。
給付対象
・雇用保険の受給資格者
用途
・移動にかかる交通費
・移転料(引っ越し料金)
給付金額
・交通費:通常の経路による運賃全額
・移転料:交通費計算の基礎となる鉄道等の距離、および親族の随伴に応じた額
・着後手当:単身38,000円・家族76,000円
※移動距離が100km以上の場合は、単身47,500円・家族95,000円
ハローワークの移転費については別記事がありますので、詳細はそちらをご参照ください。
結婚新生活支援事業
結婚をして夫婦で新生活を始めるという世帯が対象の給付金で、新生活をスタートさせるのに必要となる家賃や引越し費用を支援してもらえます。
給付対象
・令和3年1月1日から令和4年3月31日までに入籍した世帯
・ご夫婦の所得を合わせて400万円未満(世帯収入約540万円未満に相当)
・ご夫婦ともに婚姻日における年齢が39歳以下の世帯
・その他、お住いの市区町村が定める要件を満たす世帯
用途
・新居の購入費
・新居の家賃、敷金・礼金、共益費、仲介手数料
・引越業者や運送業者に支払った引越費用
給付上限
・1世帯あたり上限30万円
※市町村によって事業の名称や対象となる世帯、給付上限額が違います。詳細は市町村にの役所にお問い合わせください。
特定優良賃貸住宅(家賃補助)
特定優良賃貸住宅は、良質な家族向け住宅を少ない負担で借りることができる公的賃貸住宅制度で、家賃補助などの支援を受けられます。礼金と仲介手数料が発生しないため、引越し費用を抑えることができます。
給付対象
・自治体が定めた範囲の世帯年収がある世帯(原則単身は不可)
給付期限
・20年
給付金額(入居者負担額)
・毎年の所得調査により決定
生活保護
給付金とは少し異なりますが、生活保護を受けている人も役所の許可をえた場合には引っ越しができます。例えば、現在暮らしている建物が取り壊されたり、子どもができて部屋が狭くなったりしたときに許可をもらえます。
このときの家賃や敷金、引越し費用などが給付対象となります。引越業者に支払う引越料金は全額、その他の費用については地域ごとに定められた金額を上限に支給されます。
気をつけたいのは、現在暮らしている住宅の退去費用(ハウスクリーニング代など)が給付対象外であるということです。また他県に引っ越しする場合には、生活保護の再申請が必要になります。引っ越し先で生活保護の申請が認められないこともありますのでご注意ください。
生活保護による引っ越しについては別記事がありますので、詳細はそちらをご参照ください。
定住推進のために自治体が用意している給付金
ここまでご紹介した給付金は国の方針で展開していますが、実は自治体が定住推進や子世帯と親世帯の同居・近居推進のために給付金を用意しているケースもあります。それらを使うことで引っ越し費用を抑えることができます。
自治体独自の給付金は種類が多いため、東京都新宿区と墨田区が令和3年度に用意した引っ越し費用に使える給付金をご紹介します。引っ越し先の自治体でも用意されている可能性がありますので、転居が決まっている場合には市役所に問い合わせしてみましょう。
東京都新宿区
新宿区では下記3つの給付金制度が用意されています。
- 民間賃貸住宅家賃助成
- 多世代近居同居助成
- 次世代育成転居助成
それぞれの制度の特徴について見ていきましょう。
民間賃貸住宅家賃助成
新宿区内で民間賃貸住宅に住む世帯の家賃を助成することで、定住化を促進するための制度です。引っ越し費用ではなく家賃に対して毎月3万円の給付金を受けられます。新宿区内に居住し、義務教育修了前の子どもがいる世帯が利用できます。
給付対象
・基準日の前日までに新宿区内の民間賃貸住宅に居住し、住民登録の届出を済ませている世帯
・申込者が義務教育修了前の子どもを税法上扶養し同居している世帯
給付金額
・月額3万円(最長5年)
多世代近居同居助成
新宿区内で多世代の近居・同居を推進するための制度で、子世帯か親世帯が1年以上新宿で暮らしている場合に利用できます。すでに近居している場合も、これから同居すると言う場合には給付金を受けることができます。
給付対象
・子世帯とその親世帯が新宿区内で新たに近居又は同居を開始する
給付金額
・引越し代、不動産登記費用、礼金、権利金、仲介手数料の合計額
・複数世帯:最大20万円
・単身世帯:最大10万円
次世代育成転居助成
新宿区内で暮らす子育て世代が、区内で民間賃貸住宅を住み替えるときの費用負担を軽減するための制度です。子どもの成長や出生で部屋が狭くなったときに、新宿区内の別物件に引っ越しをするときに利用できます。
給付対象
・新宿区内に住所があり、義務教育修了前の児童を扶養して同居する世帯
給付金額
・転居前後の家賃差額として、月額最高3万5000円(最長2年)
・引越し料金の実費で最大10万円
東京都墨田区
東京都墨田区では、未就学児のいる世帯を対象に「墨田区民間賃貸住宅転居・転入支援制度」が展開されています。子供の成長に合わせて広い部屋に引っ越しする場合や、区内で暮らす親世帯と同居もしくは近居する場合に利用できます。
給付対象
・区内:区内で民間賃貸住宅に転居する未就学児のいる世帯
・区外:墨田区内の親世帯と同居もしくは近居する未就学児のいる世帯
給付金額
・賃貸借契約時に支払った仲介手数料:上限12万円
・賃貸借契約時に支払った礼金:上限12万円
・引っ越し費用:上限12万円
地方への引っ越しなら移住支援制度も利用できる
現在は東京に人口が一極集中しており、地方は過疎化が進んでいるということもあり、地域の活気を取り戻すために移住支援制度を用意している自治体もあります。
こちらも多くの自治体が行っており、一般社団法人 移住交流推進機構(JOIN)のサイトなどで調べることができます。どのような移住支援制度があるのか、令和3年度の実績をいくつか見ていきましょう。
群馬県渋川市:移住者住宅支援事業助成金
渋川市の人口減少を抑制し、定住者を増やすための制度です。渋川市内で住宅を新築または購入して市外から転入する人に10万円給付されます。さらに若者支援や子育て支援などでの加算があり、最大110万円の給付金を受け取れます。
給付対象
・渋川市内に住宅を取得して市外から転入する人
給付金額
・10万円(加算を含めると最大110万円)
新潟県新潟市:移住モデル地区定住促進住宅支援事業
新潟市には地域が主体となって移住や定住を取り組んでいる移住モデル地区があり、県外からその地区への移住を促進するために、移住モデル地区定住促進住宅支援事業として引っ越し費用や家賃などを支援しています。
給付対象
・新潟県外から秋葉区小須戸地区・秋葉区金津里山地区への移住・定住する方
給付金額
・転居費用支援:一般世帯 上限10万円・子育て世帯 上限15万円
・家賃支援:上限12,000円/月(最長2年)
・住宅取得支援:一律30万円
大分県豊後高田市
大分県豊後高田市では「孫ターン奨励事業」や「女子ターン奨励金」といったユニークな移住支援制度を用意しており、該当者が移住する場合には10万円の給付金を受けることができます。また移住検討者向けのサイトもあり、空き家バンクなどの情報も充実しています。
・子育て世代いらっしゃい引越し応援事業
・移住者応援事業 ~ウェルカム未来の高田っ子応援金~
・孫ターン奨励事業
・愛ターンお婿(むこ)さん奨励金
・女子ターン奨励金
給付金額
・10万円
給付金で引っ越しする場合に気をつけること
引っ越し費用などに使える給付金をご紹介してきましたが、これらの給付金を使うときには気をつけなくてはいけないポイントが2つあります。
- 給付金は予算に達すると終了する
- 給付されるまでに時間がかかる
それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。
給付金は予算に達すると終了する
ほとんどの給付金は1年間での予算が設定されており、予算を使い切った段階で受付を終了します。このため引っ越し繁忙期の3月には、すでに募集をしていないことがよくあります。自分で引越のタイミングを選べるなら、給付金を申請しやすい年度始めにしましょう。
また、これまで続いてきた給付金が、翌年にはなくなっているということもあります。国や自治体の方向性が変わると給付金制度が廃止されることもありますので、いつまでも利用できるものではないということを頭に入れておきましょう。
給付されるまでに時間がかかる
給付金の多くが、実際に引っ越しをしてから支給されます。この場合には、とりあえずの引っ越し費用は自分で用意しなくてはいけません。お金がないという場合には、自治体から引越業者や大家に直接支払ってくれる給付金を探すか、親しい人からお金を貸してもらいましょう。
まとめ
引っ越しは高額な費用が発生しますので、少しでも安く引っ越しをしたいというのであれば、国や自治体が用意している給付金を活用しましょう。多くの自治体が公式サイトで給付金についての紹介がありますので、まずは新居のある自治体のサイトで調べることから始めてください。
利用できそうな給付金制度が見つかった場合は、すぐに担当部署に問い合わせをして、自分に受給資格があるかどうかの確認をしてください。年度末になると予算を使い切っており、利用できないことがありますので、できるだけ年度始めに申請するのがおすすめです。
気をつけたいのは、給付までに時間がかかり、とりあえず自分で引っ越し費用を払わなくてはいけないケースもあるということです。問い合わせをするときに給付までのスケジュールも確認しておき、すぐに給付されない場合には知人から借りるなどして、引っ越し費用を調達しておきましょう。
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