【FP監修】火災保険5年の相場はいくら?保険料を安く抑えるための4つのポイント

多発する自然災害により、長期間のリスク評価が難しくなったことから、火災保険は最長10年契約だったものが、2022年10月より最長5年に変わりました。これにより、多くの人が火災保険を見直さなくてはいけなくなったのではないでしょうか。

でも、せっかく見直すなら保険料もできるだけ抑えつつ、自分に最適な火災保険を選びたいところですよね。そこでここでは、保険期間5年の火災保険に加入する場合の相場がいくらになるのかをご紹介しつつ、保険料を抑えるためのポイントについても解説していきます。

保険期間5年の火災保険相場

まずは保険期間5年で、火災保険の保険料がどれくらいになるのかを見ていきましょう。保険料は戸建てとマンションで異なるため、それぞれの火災保険相場をご紹介していきます。

戸建ての火災保険料相場

まずは戸建ての火災保険料相場が、いくらになるのか見ていきましょう。

東京都

建物構造築年数地震保険あり地震保険なし
T構造新築157,130〜233,480円11,750〜88,100円
10年41,850〜259,880円16,150〜114,500円
H構造新築245,530〜390,230円28,150〜172,850円
10年254,530〜431,030円37,150〜213,650円

大阪府

建物構造築年数地震保険あり地震保険なし
T構造新築71,330〜155,280円9,950〜93,900円
10年75,730〜196,480円14,350〜135,100円
H構造新築125,880〜290,180円22,750〜187,050円
10年134,880〜361,980円31,750〜258,850円

福岡県

建物構造築年数地震保険あり地震保険なし
T構造新築48,580〜136,080円9,950〜97,450円
10年55,180〜179,130円16,550〜140,500円
H構造新築81,800〜249,700円22,550〜190,450円
10年93,000〜324,900円33,750〜265,650円
  • 参考:i保険
  • ※条件 保険金額:建物2,000万円・家財500万円
  • ※保険始期日:2023年10月

マンションの火災保険料相場

次にマンションの火災保険料相場が、いくらになるのか見ていきましょう。

東京都(マンション)

M構造地震保険あり地震保険なし
新築160,730〜238,480円15,350〜93,100円
10年164,130〜258,080円18,750〜112,700円

大阪府(マンション)

M構造地震保険あり地震保険なし
新築72,330〜150,680円14,350〜110,100円
10年75,730〜171,480円9,950〜88,700円

福岡県(マンション)

M構造地震保険あり地震保険なし
新築48,580〜127,330円9,950〜88,700円
10年54,180〜150,730円15,550〜112,100円
  • 参考:i保険
  • ※条件 保険金額:建物2,000万円・家財500万円
  • ※保険始期日:2023年10月

火災保険の保険料を決める8つの要素

上記でご紹介した火災保険料相場からは、建物の所在地や構造などにより保険料が異なっているのがわかります。さらには同じ所在地、構造、築年数でも、保険料が10倍近く違うケースもあります。なぜこのようなバラツキが発生するのか気になりますよね。

そこでここでは火災保険の保険料が、どのような要素によって決まるのかについて解説していきます。一般的に火災保険の保険料は下記8つの要素によって決まります。

  1. 建物と家財の評価額
  2. 所在地
  3. 構造区分
  4. 築年数
  5. 補償内容
  6. 保険期間
  7. 支払方法
  8. 割引制度

具体的にどのような影響を与えるのか、それぞれの要素ごとに詳しく見ていきましょう。

建物と家財の評価額

火災保険は火災などが発生したときに、建物や家財を保険金によって再取得するために加入します。

丸尾
丸尾

このため建物と家財の評価額が高額だった場合、保険金額も高額に設定する必要があり、その結果、保険料が上がってしまいます。

保険金額の違いによって、月々の保険料がどれくらい変わるのか見ていきましょう。

●保険商品:東京海上日動「Total assist 住まいの保険」プランⅠ

所在地東京都
建物構造T構造耐
築年数新築
地震保険あり
保険期間5年
保険始期日2023年10月

建物保険家財保険保険料
1000万円100万円109,760円
500万円143,260円
1000万円191,860円
2000万円100万円188,070円
500万円221,570円
1000万円270,170円
転用:i保険

保険金額が高額になるほど、保険料相場が高くなることがわかります。坪単価の高い注文住宅を建てたり、価値のある家財を多く所有していたりする場合には、保険料が高くなると覚えておきましょう。

所在地

丸尾
丸尾

火災保険の多くが、台風などによる自然災害なども補償対象としているため、自然災害が発生する可能性の高い地域ほど保険料が高くなる傾向にあります。

地震保険を付ける場合も同じで、大規模地震が発生する可能性の高い所在地ほど、保険料が割高になります。

●東京海上日動「Total assist 住まいの保険」プランⅠ

建物金額2000万円
家財金額500万円
建物構造T構造耐
築年数新築
地震保険あり
保険期間5年
保険始期日2023年10月
保険料
東京都221,570円
愛知県139,130円
大阪府143,360円
福岡県122,880円
北海道118,690円
沖縄県156,570円
転用:i保険

東京都は海抜ゼロメートル地帯を多く抱えており、さらに大規模地震のリスクが高いということもあって、同じ補償内容になっているのにもかかわらず、北海道の2倍近い保険料になっています。このような地域差があることも覚えておきましょう。

構造区分

建物の燃えやすさも火災保険の保険料に影響します。たとえば木造住宅はコンクリート造のマンションよりも燃えやすく、隣の家の火災であっても飛び火して燃え移る可能性も高いため、保険料が高くなっています。

M構造(マンション)>T構造(耐火構造)>H構造(その他の構造)

丸尾
丸尾

住宅物件音構造区分は「M構造」「T構造」「H構造」がありますが、上記のようにマンション構造の火災保険料が最も安く、H構造は保険料が割高になります。

こちらもどれくらい違いがあるのか見ていきましょう。

●東京海上日動「Total assist 住まいの保険」プランⅠ

建物金額2000万円
家財金額500万円
所在地東京都
築年数新築
地震保険あり
保険期間5年
保険始期日2023年10月
保険料建物構造
M構造201,900円マンション
T構造221,570円耐火構造
H構造360,630円その他の構造
転用:i保険

M構造とT構造では保険料がそこまで大きく変わるわけではありませんが、H構造になると1.5倍以上の保険料アップで、家計に厳しい結果になっています。

築年数

どんな住宅も時間の経過とともに建材が劣化していくため、古い物件はそれだけ自然災害に弱くなります。さらに耐震強度も低下する傾向にあるため、

丸尾
丸尾

多くの保険会社が築年数の古い物件ほど保険料が高くなるように設定しています。

●東京海上日動「Total assist 住まいの保険」プランⅠ

建物金額2000万円
家財金額500万円
所在地東京都
建物構造T構造
地震保険あり
保険期間5年
保険始期日2023年10月
築年数保険料
新築221,570円
5年234,300円
10年251,340円
15年268,920円
20年284,450円
25年296,060円
30年299,570円
35年302,200円
転用:i保険

新築と築35年では保険料が約8万円も異なります。予算が限られているからといって、築年数が古い中古物件を購入すると火災保険料が高額になりやすいのでご注意ください。

補償内容

火災保険商品によっては、基本となる補償内容以外を自分で選べるようになっています。

丸尾
丸尾

たとえば大きな川が近くを流れており、水災のリスクが高い場所に家を建てることになった場合には、水災に対する補償を付けるといったように、自分で補償内容をアレンジできます。

ただし、補償する対象を増やすと保険料が高くなります。少しでも保険料を抑えたいのであれば、補償対象をできる限り減らしたいところですが、そうするといざというときに保険金を受け取れなくなる可能性があるので注意が必要です。

保険期間

火災保険は保険期間が長いほど保険料が安くなります。かつては35年契約の火災保険もあり、とても割安な保険料で加入できましたが、ご存知のように現在は5年契約が最大の保険期間となっています。多くの保険会社が1年契約と5年契約を用意しており、どちらかを選ぶことになります。

●東京海上日動「Total assist 住まいの保険」プランⅠ

建物金額2000万円
家財金額500万円
所在地東京都
築年数新築
建物構造T構造
地震保険あり
保険期間5年
保険始期日2023年10月

たとえばこの条件のときの火災保険を1年契約と5年契約で比べてみると次のようになります。

契約期間保険料
1年47,720円
5年221,570円
転用:i保険

1年契約を5回繰り返すと238,600円になり、約7.7%も割高になります。ただし1年契約の場合には1年後の保険料で加入することになりますので、下がっている可能性も上がっている可能性もあります。

とはいえ近年の物価高と自然災害の多さを考えたとき、1年契約の保険料は今後上がり続ける可能性が高いため、いま加入するなら5年契約がおすすめです。

支払方法

火災保険の支払い方法は一括払いと分割払い(月払い・年払い)がありますが、保険料は一括払いのほうが安くなります。また、分割払いでも月払いよりも年払いのほうが安くなります。このように、支払方法が保険料に影響するということを覚えておきましょう。

割引制度

火災保険は保険会社ごとに、さまざまな割引制度を用意しています。どのような割引制度があるのか見ていきましょう。

  • 新築割引
  • 築浅割引
  • 耐火建築物割引
  • オール電化住宅割引
  • ホームセキュリティ割引
  • エコ設備割引
  • 消火設備割引
  • Web申込割引

これらの割引制度に該当する場合、火災保険料が安くなります。

5年契約の火災保険の保険料を安く抑えるためのポイント

ここまでの説明で、5年契約で火災保険に加入する場合の料金相場と、保険料がどのようにして決まるのかを把握できたかと思います。そうなると、次に知りたいのが具体的にどうすれば火災保険が安くなるのかですよね。

そこでここでは、5年契約の火災保険を安く抑えるためのポイントをご紹介していきます。

  1. 必要のない補償内容を外す
  2. 保険料を一括払いにする
  3. いくつかの火災保険を比較する
  4. 利用できる割引制度がある火災保険を選ぶ

この4点が5年契約の火災保険を安くするためのポイントになります。それぞれのポイントについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

必要のない補償内容を外す

まずは火災保険の補償内容を、本当に必要なものだけに絞りましょう。火災保険としてメインの補償内容となるのが下記になります。

丸尾
丸尾

火災、落雷、破裂・爆発

「火災、落雷、破裂・爆発」はどの火災保険でも基本の補償内容となっています。これらの補償内容に対して、実質的にオプションという位置づけになるのが下記の補償内容になります。

  • 風災、雹災、雪災
  • 水災
  • 盗難による盗取
  • 騒擾や集団行動等に伴う暴力行為
  • 漏水などによる水濡れ
  • 建物外部からの物体の落下・飛来・衝突
  • 損傷・汚損

家が高台にあれば水災リスクはほとんどありませんし、セキュリティがしっかりした家であれば盗難や騒擾などのリスクも低くなります。このように、必要のない補償内容を外して、本当に必要となる範囲だけ補償対象となる保険商品を選びましょう。

保険料を一括払いにする

丸尾
丸尾

すでにお伝えしましたように、火災保険は支払回数が少ないほど保険料が安くなります。このためできるだけ一括払いで払ってしまいましょう。

引っ越しは何かとお金がかかるので、つい分割払いにしたくなりますが、保険料が高額な場合には大きな金額差になります。

できるだけ出費を抑えたいのはわかりますが、保険料を少しでも安くするために保険料は一括払いにしてください。

いくつかの火災保険を比較する

火災保険の保険料はさまざまな要素で決まることはすでにお伝えしましたが、実はもうひとつ保険料に影響する要素があります。それが「保険会社」になります。保険金額も補償内容も同じ保険商品であっても、保険会社によって保険料が異なります。

実際にいくつかの火災保険商品を比較してみましょう。

●条件

建物金額2000万円
家財金額500万円
所在地東京都
築年数新築
建物構造T構造
地震保険あり
保険期間5年
保険始期日2023年10月

スマホは横スクロール出来ます。

保険会社日新火災楽天損保セコム損害保険
商品名住宅安心保険
オールリスクプラン
ホームアシスト
オールリスクプラン
セコム安心マイホーム保険
ワイドプラン
火災、落雷、破裂・爆発
風災・ひょう災、雪災
水災
盗難
水漏れ
騒擾
外部からの落下、飛来等
破損・汚損など
保険料233,480円227,630円216,720円
転用:i保険

特約や免責金額などにより細かい内容は異なりますが、受け取れる保険金額と補償内容が同じでもこのように数万円の違いになります。少しでも安くしたいのであれば、最初からひとつの保険商品に絞るのではなく、いくつかの保険会社で保険商品を比較してから決めましょう。

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火災保険無料一括見積もり

利用できる割引制度がある火災保険を選ぶ

新居の物件によっては、さまざまな割引を受けられます。たとえばオール電化住宅だった場合にはオール電化住宅割引を適用できるのですが、すべての保険会社がオール電化住宅割引に対応しているわけではありません。

このため、火災保険の選定をするときに、それぞれの火災保険にどのような割引制度が用意されているか調べておく必要があります。それらの割引制度の中に、自分のケースで適用できそうなものがあればリストアップしておき、保険商品を選ぶときに活用しましょう。

手間はかかりますが、割引制度によっては20%以上の割引を受けられるケースもあります。少しでも安く契約したいのであれば、必ず割引制度について調べておいてください。

まとめ

長期契約できる火災保険商品がなくなり、火災保険は最大5年までしか契約できなくなりました。このため5年契約したところで、かつてのような長期契約のお得感はありませんが、それでも現在の物価上昇を考えると、少しでも安く契約したいのであれば5年契約がおすすめです。

ただし、ここでご紹介しましたように補償内容を増やしすぎると、火災保険はかなり数十万円になります。しかも東京のように保険料が高額な地域もあり、できることなら分割払いにしたくなりますが、分割払いは割高になってしまいます。できるだけ一括で支払ってください。

また、少しでも安く契約したい気持ちが強いと、補償内容を削りたくなりますが、その場合にはいざというときに保険金を受け取れず困ることになります。必要のない補償内容は削っても構いませんが、リスクがある補償内容については削らず、他の方法で保険料を引き下げましょう。