【保険FP監修】オール電化割引で保険料を抑えるポイントを詳しく解説

家を建てたり購入したりするときに、火災リスクが低いと説明されてオール電化を導入した人もいるかと思います。火事になりにくいなら火災保険に加入しなくてもいいのでは?そう期待している人もいるかもしれません。でもオール電化でも住宅ローンを組むなら火災保険加入は必須です。

なぜ火災リスクが低いオール電化住宅で、火災保険に入らなくてはいけないのか疑問に感じるかと思いますので、ここでは火災保険加入が必要な理由と、保険料が安くなるオール電化割引について、詳しく解説していきます。2022年4月時点の情報になります。

オール電化住宅でも火災保険が必要な理由

オール電化にするとガスを使わなくなるので、火災リスクは大幅に下がります。ガスに引火して爆発するようなこともありませんし、料理中に火が燃え移るなんてこともありません。ただ、火災がまったく起きないわけではありません。さらに、火災保険は火災だけに備えているわけでもありません。

  1. オール電化でも火災は発生する
  2. 火災保険は自然災害にも備えている

この2つがオール電化住宅でも、住宅ローンを組むときに火災保険加入を求められる理由になります。それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。

オール電化でも火災は発生する

平成27年に東京都で発生した火災件数533件のうち、ガステーブルが火災の原因だったのは352件です。ところがIHクッキングヒーターが原因の火災は20件しかありません。ガステーブルとIHクッキングヒーターの普及率に差があるものの、火災リスクはオール電化のほうが低いのは明らかです。

ただし火災発生件数は0件ではなく、コンセントで火花が散って引火することもありますし、加熱しすぎて自然発火することもあります。さらに、火災の場合はもらい火をしても損害賠償請求ができないため、自分の家が原因でなくても火災に巻き込まれることがあります。

オール電化でも火災リスクはあるということで、火災発生時にローンを返済できなくなるのを防ぐために、住宅ローンでは火災保険への加入を必須としています。

火災保険は自然災害にも備えている

丸尾
丸尾

火災保険は火災被害を補償する保険だと思っている人もいるかと思いますが、実は台風や大雨、落雷といった自然災害に対しても補償を行います。

火災保険のプランによっては盗難や暴動による破壊などに対する補償も行っています。

火災だけでなく、家に起こりそうな様々なトラブルに対して備えるための保健が火災保険です。大雨で家が水没したときに、家の修繕を行う必要がありますが、住宅ローンが残っている場合には、ローンを支払いながら修繕費用を捻出しなくてはいけません。これは大変ですよね。

そんなときに火災保険に加入していれば、修繕費用を保険金として支払ってもらえます。最近は大規模な災害が多発しており、自然災害は対岸の火事ではなくなっています。そのような自然災害に備えるためにオール電化住宅でも火災保険に加入しておく必要があります。

保険料が安くなるオール電化割引の特徴

火災リスクが低いのに、普通の家と同じ保険料を払うのは理不尽だと感じる人もいますよね。安心してください。そういう人のために「オール電化割引」が用意されています。ただし、すべての保険会社で利用できるわけでもなく、利用条件も保険会社によって違います。

そこで、ここではオール電化割引の特徴についてご紹介していきます。

オール電化割引を受けられる保険会社

2023年08月19日現在で、オール電化割引を導入しているのは下記の3社だけです。

  1. セコム損害保険
  2. SBI損害保険
  3. AIG損保

オール電化住宅で火災保険料を少しでも安くしたいなら、この3社いずれかの火災保険を選ぶ必要があります。

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適用条件は保険会社ごとに異なる

オール電化割引を実施しているのは3社ありますが、それぞれに割引を受けるための条件が違います。セコム損害保険はガスストーブを利用していると割引を受けられませんが、SBI損害保険は石油ストーブを使用していても住宅がオール電化であれば割引を利用できます。

ちなみにセコム損害保険は石油ストーブを持っているだけなら、問題ないとしています。ただし石油ストーブを利用するときには届け出が必要で、届け出なしで石油ストーブが原因で火災が発生した場合には、保険金を受け取ることができません。

オール電化割引の割引率

オール電化割引は魅力的ですが、保険料がそれほど安くならないとあまり意味がありませんよね。3社のうちセコム損害保険だけ割引率を公開していますので、どれくらいの割引を受けられるのか見ていきましょう。

M構造:約5~28%
T構造:約3~18%
H構造:約3~18%

割引率に幅があるのは、建物によって火災の発生リスクや火災の広がり方が違うためです。燃えにくいマンションなどのM構造はオール電化割引の割引率が高く、その他の構造は約3〜18%と割引率が低く設定されています。

とはいえ5%引きだったとしても、保険料が10年間で50万円だったとすると2.5万円も安くなります。これは小さな金額ではありませんよね。保険会社によって割引率は変わりますが、得することはあっても損することはありません。

オール電化設備も火災保険で補償される

オール電化を使っている人にもうひとつ知っておいてもらいたいのが、オール電化設備が自然災害などで壊れたときには、火災保険を使って修理できる可能性があるということです。すでにお伝えしましたように、火災保険は水害や落雷などの自然災害による損害も補償します。

このとき補償対象となるのは建物だけでなく、それに付帯する設備も補償してもらえます。

  • 落雷でIHクッキングヒーターが壊れた(雷災)
  • 大雨で浸水しエコキュートが壊れた(水災)
  • 台風で瓦が飛んできて太陽電池パネルが壊れた(風災)

このようなケースでは火災保険で修理できます。ただし、加入している火災保険に該当する補償内容が含まれていることが補償条件になります。例えば火災保険に水災補償を付けていなかったら、エコキュートが水没しても補償は受けられません。

丸尾
丸尾

火災保険に加入するときには、補償内容が少ないほうが保険料は下がりますが、安くするために補償内容を削りすぎると十分な補償を受けられなくなるのでご注意ください。

火災保険は比較検討して選ぼう

ここまではオール電化住宅なら、オール電化割引を利用できて保険料が安くなるとお伝えしましたが、火災保険を選ぶときに必ずしもオール電化割引のある保険が良いかというと、そうとも限りません。

火災保険の保険料は保険会社ごとに違います。同じ補償内容だったとしてもセコム損害保険、SBI損害保険、AIG損害保険の3社よりも保険料が安くなる保険会社もありますし、補償内容の最適化をしたらオール電化割引がなくてもトータル費用を抑えられるケースもあります。

丸尾

火災保険の保険料を安く抑えたいのであれば、オール電化割引にこだわらず、複数社に見積依頼をしましょう。そして提出された見積書を比較して、自分に最適な火災保険を選んでください。

ちなみに見積依頼をするときに火災保険の窓口を利用すると、複数社にまとめて見積依頼できます。上記のオール電化割引のある3社とも契約しており、保険会社を選べばいいのかアドバイスも行っています。初めての火災保険選びで不安という人は、ぜひ火災保険の窓口をご利用ください。

まとめ

オール電化住宅は火災の発生リスクが低いものの、電気を使っているためまったく発生しないわけではありません。さらにもらい火のリスクもあり、自然災害にも備えることができるため、住宅ローンを組むなら火災保険加入は必須です。

セコム損害保険、SBI損害保険、AIG損害保険のようにオール電化割引を用意している保険会社もあります。割引を受ける条件や割引率は保険会社ごとに違いますが、この3社のいずれかの火災保険に加入するときには、必ずオール電化割引を申請しましょう。

ただし、オール電化割引があるからといって、どの保険会社よりも保険料が安くなるとは限りません。保険料は保険会社ごとに違い、さらに補償内容の組み合わせによっては割引制度を用意していない保険会社のほうが安くなることもあります。

割引があるから使ったのに、実はトータル費用が高かったというのではもったいないですよね。必ず複数社に見積依頼をして、比較検討したうえで火災保険を選びましょう。