カビ菌による健康被害!有害なカビ菌による悪影響や効果的な予防対策

現在カビは80,000種以上確認されていて、今後も新たに発見されると思われています。その中には発酵食品を作ったり、ペニシリン等医療分野に利用されるカビもありますが、、一部のカビでは人体に有害な毒素を生産し健康被害を及ぼします。

カビの生産する毒素を総称してマイコトキシンと呼び、現在は300種以上が報告されていてます。

カビは単体では目に見えず、家の中に沢山潜んでいるので、カビの事を良く知って毒素から体を守りましょう

カビ菌ってどんな物?

カビ菌とはいったいどのようなものなのでしょうか?生き物なのか、その正体について詳しく説明します。

種類は菌類

生物は動物・植物・原生生物の3種類に大きく分けられます。カビ・キノコ・酵母は真菌類と呼ばれ、原生生物に含まれます。つまり、カビはキノコや酵母の仲間なんです。

カビと言う呼び名自体は俗称で、真菌の中の物又はその一部が食品などの上で増えて、目に見える様に成る種類のものを指します。

カビの発育には栄養源・水分・温度・酸素の4つの要素が必要です。

カビが生育しやすい条件としては、温度が20℃~30℃で湿度が80%で栄養分のある場所ですが、温度が5℃以上45℃以下、湿度60%でも繁殖します。

栄養分は、ホコリ・汚れ・塗装・接着剤などです。ただ酸素がないとカビは発育できない為、カビを生やさないようにするには、密封して脱酸素剤等を入れておくのが良いでしょう。

カビ発生条件
  • 温度20℃〜30℃
  • 湿度60%〜80%
  • ホコリ、汚れがある場所

糸のような微生物

カビの細胞自体は大きさは、2~10マイクロメートル程で微生物と言えるでしょう。

微生物とは
顕微鏡を使わないと見えないくらい、小さな生物の総称です。
細菌・菌類・ウイルス・微細藻類・原生動物(アメーバやゾウリムシなど)等が含まれます。

カビは糸のような「菌糸」と「胞子」から成り立っていて、菌糸は盛んに増殖して菌糸体と言う塊を作ります。

カビを放っておくと綿の様な塊になりますが、あれが菌糸体です。菌糸は、育成場所の内部に侵入して栄養分を吸収、運搬する働きをします。

そうして「胞子」を作るための細胞に分化します。胞子は生殖に分化した細胞で、遠くへ飛んで育成場所を広げます。形は様々で、球形・楕円形・棒状・三日月状・ラセン状等があります。

細菌とは違います

病気を引き起こすと言えば、ウイルスや細菌などが考えられますが、カビはウイルスや細菌とは違います。ウイルスは大きさも一番小さく、単独では繁殖できません。インフルエンザが良く知られていますね。

細菌は、それよりも大きく細胞を持つ単細胞生物です。コレラ菌や赤痢菌等です。そして、カビ菌は細菌よりももう少し大きく、複雑な生き物です。細胞の中に核やミトコンドリアを持つ、多細胞生物です。

生殖用に細胞を作るなど出来るため、子孫を残す仕組みも複雑になっています。

有害なカビ菌がもたらす悪影響な健康被害

カビ菌にはやはり人間にとって有害な菌がいくつもあります。ここで、カビ菌の種類とそのカビ菌が原因でかかる病気についていくつか紹介します。

皮膚を侵す

代表的なのは、白癬菌で知られる水虫です。白癬菌は人や動物の髪・毛・爪・角質・鱗などに含まれるケラチンと言うタンパク質を好むカビで、30種類以上の菌種があります

その中で、ヒトからヒトへ移るヒト好性菌が、皮膚や爪に寄生して繁殖したものが水虫です。

白癬菌は、高温多湿・アルカリ性の環境を好みます。

汗や汚れを残した皮膚をそのままにしておかず、毎日入浴等を行い、皮膚環境を弱酸性に保てば感染予防になります。

皮膚カンジダ症や細菌の感染など、皮膚に水虫と同じような症状が出る皮膚疾患もありますが、原因が白癬菌でない場合は水虫とは言いません。

水虫の場合とそうでない場合は治療法が違うので、薬を使っても症状が良くならないと感じたら、医者に行って検査してもらいましょう。

内臓を侵す

気管支肺アスペルギルス症を引き起こす、アスペルギルスと言うカビがあります。

このカビは、通常はヒトに感染症を引き起こすことはありませんが、免疫力が下がっていたり、気管支喘息や肺の疾患があったり、このカビに対してアレルギー反応がある場合は、様々な病気を引き起こします。

進行すると、常に息切れや呼吸困難を起こします。おかしいと思ったら、早めに病院へ行き医師の診断を受けましょう。

クリプトコッカス-ネオフォルマンスというカビによって引き起こされるのが、クリプトコッカス症です。

病原体の菌を吸い込んで、肺で感染を引き起こす場合が多いですが、はじめは吸い込んでも症状が出ない事もあります。

その場合、他の部分に病原体が広がり、そこで感染を起こした時に症状が出ます。感染すると、徐々に倦怠感や疲労感が増して行き食欲不振や発熱・頭痛が起きます。

脳まで感染が進むと髄膜炎・脳炎の症状が出ることもあります。免疫力の低下した人はこのカビを吸い込まないように気を付けましょう。

特に、公園でハトに餌をやる等の行為はやめた方が良いです。

発がん性物質であるアフラトキシンは穀類・落花生・ナッツ類・とうもろこし・乾燥果実に寄生するカビが作るカビ毒で、主に肝細胞癌を引き起こす原因物質と言われています。

保険局等で検査を行っていますが、輸入品から少量検出されることがあります。国産品からはあまり検出されることは無いようです。

カビが原因?カビを吸い込んだ場合の症状・咳が出た時の対処方法を解説

アレルギーを起こす

6月~10月ぐらいに発症する夏型過敏性肺炎は、トリコスポロンという、カビや酵母の1種によって引き起こされます。

このカビは高温多湿を好み、腐木などを栄養源として発育します。特に古い家屋で日当たりが悪く、湿度が高くて風通しの悪い所は要注意です。

症状は発熱・咳・呼吸困難で、真菌の胞子を吸い込んで6~8時間で発症します。予防は、トリコスポロンを吸い込まない事です。

その場を離れるか掃除や片づけをして、環境の改善をしましょう。

アルテルナリアアレルギーも、アルテルナリアというカビが原因で引き起こされます。

このカビは、一般にススカビと言われていて、浴室や結露した窓・壁・湿気の多い台所で見られるカビです。

このカビを吸い込むことで、気管支喘息やアレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎を引き起こします。

アレルギーを引き起こす原因となるカビは、他にもクラドスポリナム(クロカビ)・ペニシリウム(アオカビ)・アスペルギルス(コウジカビ)等があります。

カビ菌の効果的な予防対策


カビ菌を日頃から予防することが大切です。予防方法についていくつか紹介します。

カビが発生しやすい温度とは?!6つの対策・予防方法について詳しく解説

窓を開ける

カビを予防するには、4つの生育条件をそろえない事です。天気の良い日は窓を開けて室内の湿度を下げましょう。

湿度を50%ぐらいに下げると、カビは生育しにくくなります。熱を加えて死滅させるという方法もあります。

大抵のカビの死滅温度は50℃ですが、中には高熱に耐えるものもあります。

麹カビの子嚢胞子は65℃で50分、青カビの子嚢胞子は82℃で6.7分が熱死滅条件です。

つまり、80℃で30分加熱すると、ほとんどのカビが死滅すると言う事になります。でもこれは、水を使って加熱した場合です。

乾燥状態で熱風をかけた場合は非常に耐熱性が高くなり、カビ胞子を死滅させるのに120℃以上の高温で60~120分が必要となります。

扇風機を使って空気の循環をする

部屋の空気をよどませない様に、扇風機を使って風を送るのも良いでしょう。

特にクローゼットや靴箱などの扉を開けて、風を通すと湿気がこもりにくくなります。

ただ、すでにあるカビの胞子を散らさない様に、掃除をしてから風を送りましょう。

こまめに掃除する

カビにとっての栄養源である埃を、溜めないようにしましょう。

すでにカビ菌が根を張ってしまっている場合は、殺菌する必要があります。カビ菌の最適ペーハーは4~4.5で、生育可能ペーハーは2~8.5です。

生育可能ペーハーよりも、酸性又はアルカリ性の洗剤を使えばカビは死滅できますが、生えているプラスティックや周りの家具を傷つける恐れがあるので、注意してください。

カビ菌のまとめ

私たちの周りにあるカビは、健康な時にはあまり体に害はありませんが、多量に吸い込んだり、体が弱って免疫力が落ちてしまうと、感染症や癌・アレルギーを引き起こします。

そして、カビの正体を知って、悪い部分は取り除くようにしましょう。また、長期に渡って症状が改善されない場合は、カビ菌を疑い、早めに病院を受診しましょう。