気が付いたらいつの間にか生えているカビ。でも普段から空気中にたくさんカビの胞子が舞っているってご存知でしたか?ほとんどは害がないものだけど、中には人間の健康に影響を与える危険なものもあるんです。カビの季節が本格化する前に、カビについてよく知って対策しましょう!

日常にも潜む、カビの胞子

冷蔵庫の奥に、すっかり忘れ去られていた食材を発見。慌てて取り出してみたら、白い綿のようなものに覆われていた…。気が付いたらお風呂の壁のパッキン部分が黒ずんでいた…。誰でも1度はあるかもしれない経験です。それらがカビの姿。目に見えない状態から、ある日突然湧き出すように現れるので、一体どこから来るんだろう?と思いますが、実は普段呼吸している空気には、かなり多数のカビの胞子が舞っているんですよ。それらがある一定の条件下で爆発的に増えると、人間の目にも見えるような状態、すなわち「カビ」と呼ばれる姿となって現れるのです。

カビについて知っていますか?

菌糸でできている菌類・カビ

カビは「菌類」もしくは「真菌類」という仲間に分類される生き物です。「菌」と聞くと「細菌」を思い浮かべますが、両者には違いがあります。菌類は菌糸といって、糸状の体をしています。そして菌糸が枝分かれして広がっていった全体、もしくはその集合した形を菌糸体と呼びます。細菌にはない細胞核を有していている、つまり細菌よりはワンランク上の進化を遂げているものなのです。それらが目に見える形になったものを、一般的に「カビ」と呼びます。

カビは胞子によって増殖する

カビは菌糸と胞子によって成り立っています。カビには白、青、黒などさまざまな色が見られますが、それはたいていこの胞子の色です。胞子は湿度60%以上、温度20~30度という条件下でホコリや食べカス、人間の皮脂などをエサにして活発に増え始め、さまざまな形で別の場所に運ばれて、発芽し、成長します。これが繰り返され、増殖していくのです。

湿気の多い時期に増えやすい

カビは乾燥した環境でも生きていくことはできますが、前述したように湿度が高くなると急激に増殖と成長をし始めます。日本ではちょうど梅雨や台風の時期が湿度とともに気温も高くなり始め、カビが繁殖するには絶好の季節となります。
局地的に湿度が高くなるような場所にも要注意です。たとえば風呂場や、台所などの水回り。ちょっと油断すると、梅雨の時期だけでなく年中カビが生えます。使ったあとにはこまめに水分を拭いたり、湿度を下げるような工夫が必要です。また、カビのエサになるようなものを除去するように、清潔にしておくことも重要です。

カビを侮るとどうなるの?

食中毒やアレルギー、病気の原因になる

カビは人体に入り込むと、健康を害するさまざまな原因となります。食品についたカビ、色のついている部分だけ取り除けば大丈夫だと思っていませんか?色がついているのは菌糸が広範囲に広がっている部分であり、実際には目に見えなくても全体的に菌糸や胞子が貼りついています。これを食べてしまえばもちろん食中毒の原因となります。
また、壁や天井などにカビが発生している場合、空気中に胞子が漂っていることになります。これを放っておくと、アレルギー性皮膚炎、結膜炎につながります。胞子を吸い込むと、アレルギー性鼻炎や呼吸器の病気の原因ともなります。

夏型過敏性肺炎になる

どうも夏風邪が長引いている…それは実はカビが原因の「夏型過敏性肺炎」かも。湿度と気温が高くなる夏限定の病気で、風邪と大変よく似ており、咳が続く、微熱が出るなどの症状が現れるものです。秋になると治ってしまいますが、毎年夏だけこのような症状が出る場合は、カビを疑った方がいいでしょう。慢性化すると肺へのダメージが深刻になり、呼吸機能にも影響が出始めてしまいます。

食べかけ、残り物に生えるカビには発がん性がある

実はカビも全てが人体に悪影響を及ぼすわけではなく、無害なものや、発酵食品や薬品を作るために役立つものも多くあるのです。その反面、発ガン性を持つという、非常に危険性の高いカビも存在しています。トウモロコシ、ピーナッツ、香辛料など食品に生えるカビにはこのようなものが多く、中でもコウジカビの一種であるアフラトキシンというカビはダイオキシンの実に10倍という毒性があり、肝臓ガンを引き起こす一因とされています。加熱してカビは死んでもカビの毒は残るということがあるため、カビの発生した食品は処分するのが妥当と言えるでしょう。

汗により発症する癜風(でんぷう)

たいていの人の体に付着しているという癜風菌(でんぷうきん)はカビの一種で、普段は悪さをしないのですが、汗をかいてそのままにしていたり不潔なままでいると、癜風という皮膚炎を引き起こすことがあります。白や茶色の湿疹が出るのですが、かゆみなどはなく、気付かないことも多いようです。とはいえ、カビが原因の病気であることにはかわりありません。皮膚はいつでも清潔にしておきたいですね。

身近な症例!水虫・いんきんたむし

水虫やいんきんたむしも、白癬菌(はくせんきん)というカビの一種が引き起こす皮膚炎です。靴や下着の中で湿度が上がることにより、菌が増殖して活発になることが原因です。やはり細かい部分も汗をかいたらそのままにしておかず、常に清潔にしておくことが重要ですね。

カビの胞子の大きさは?

顕微鏡で確認できる大きさである

カビの胞子のサイズは種類によって大きく異なりますが、たいていは2~10マイクロメートルほど。顕微鏡で十分見える大きさです。のぞいてみると、円形だけではなく棒状、らせん状などさまざまな形が確認できます。

微生物の中では大きい部類である

胞子自体は肉眼では確認できませんが、風邪の原因のウィルスなどと比べると、微生物の中では大きい部類です。また菌糸が広がると容易に目で見てもわかる大きさとなるので、防止することも比較的簡単だと言えます。

ウィルス用のマスクである程度防げる大きさである

微生物の中では大きい部類であるということはつまり、風邪対策のマスクで浮遊しているカビを吸うことはある程度防止できるということです。カビを吸い込んだことで起きるさまざまな健康障害は、マスクでガードしてしまいましょう。

カビの殺菌方法について

カビ取り剤を使用する

市販されているカビ取り剤を使用する時は、いくつかポイントがあります。まずはカビ以外の汚れを先に落としておくこと。特に風呂場では皮脂やせっけんカスなどがたまり、カビではないのに黒く汚れている場合が多くあります。洗剤できれいになるものはカビではないので、まずは洗ってしまいます。
次に、きれいにしたい場所が乾いている状態でカビ取り剤を使用すること。濡れていると、せっかくの効果が薄まったり、密着しなくなるからです。
最後に、カビ取り剤をつけたらこすらないこと。成分がじっくりと殺菌してくれるまで待ちましょう。

消毒用アルコールで予防する

カビ取り剤でカビがきれいに落ちたら、エタノールでカビ防止しましょう。エタノールとは消毒用アルコールのこと。薬局などで売っています。ただし「無水エタノール」ではなく、80%のエタノールを選びましょう。水が全く入っていないと、消毒の作用が効力を発揮しないからです。
もうひとつ注意したいのは、エタノールではカビは殺せても、色は取れません。必ずカビ取り剤できれいにしてから、あくまでその後の「カビ防止」のために使用するのがいいでしょう。

早めの対策が重要!カビのまとめ

常に空気中に漂うカビの胞子。大半は吸い込んでも体には無害ですが、湿度が上がるなどの条件がそろうと、有害なカビまでも活発になります。まずは湿度を調えること。そして湿気の多い季節になる前に、カビが発生しやすい場所は清潔に保っておくこと。梅雨、台風、そして夏本番が始まる前に、春のうちから対策を怠りなく行っておきたいですね。