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最近、毎日のように目にする「医療保険」や「入院保険」のCM。「そろそろ、入った方がいいかな」と思ってはみたものの。CM数からも分かるように、取り扱う保険会社の数も、商品の種類も、実に豊富。
どれを選んでいいのか分からないで途方に暮れてしまったり、「本当に必要なの」と半信半疑になってしまったりしている人もいるのでは。
いったい、病気やケガで入院や手術をしたら、どのくらいのお金が必要になるのでしょうか? 日本の医療費事情と、「医療保険」の必要性にについて考えてみました。
医療保険って、どんな保険?
「医療保険」とは、病気やケガで入院したり、所定の手術を受けたりしたときに、給付金を受け取ることができる保険のことです。商品によっては「入院保険」という名称が使われていることもあります。
病気になったり、ケガをしたりといった状況は、あまり考えたくない、できれば避けたいことですが。入院や手術をすれば、場合によっては多額のお金がかかってしまいます。そんなときに、給付金という形で安心を与えてくれるのが医療保険です。
そして近年は、この入院と手術での保障を基本にしながら、加入時の年齢や性別、ライフスタイル、将来感じる心配事などを考慮して、一人ひとりに適した特約をつけることのできる商品が増えていて、ますますサポートが充実してきています。
日本の公的医療保険は世界でもトップクラス!

「医療保険」や「入院保険」は、民間保険会社の保険商品のことです。
それとは別に、日本には、社会保障制度の一つとして、“公的”な医療保険制度があります。民間の保険への加入が任意であるのに対して、日本の公的医療保険では、すべての国民が加入することが義務づけられています。義務と聞くと強制的で印象がよくないと感じる人もいるかもしれません。でも、に見ても非常に優れた制度です。
日本人にとって、体調が優れないと感じたら病院で診察してもらうことはごく自然なことです。ところが、世界の多くの国では病院へ行くことは結構ハードルの高い、なかなか難しい行為。

「風邪っぽいから」「お腹が痛いから」と、気軽に病院へ行けるのは、“公的”な医療保険が充実しているからなのです。
以下に、日本の公的医療保険制度の優れた特徴を紹介します。
国民皆保険制度
すべての国民が何らかの公的医療保険に加入し、全員が保険料を支払うことで互いの負担を軽減する制度です。
持病があって頻繁に通院しなくてはならない人も、入院や手術によって高額の医療費がかかってしまった人も、定められた負担割合のみで医療を受けることができるのは、国民全員に公的医療保険への加入が義務づけ、みんなで支える仕組みが整えられているからなのです。
<公的医療保険の対象別運営主体>
対象 | 運営主体 |
主に大企業の従業員、その扶養家族 | 健康保険組合 |
主に中小企業の従業員、その扶養家族 | 全国健康保険協会(協会けんぽ) |
公務員と教職員、その扶養家族 | 共済組合 |
自営業、フリーランスほか、無職、その扶養家族 | 国民健康保険(都道府県・区市町村) |
75歳以上 | 後期高齢者医療制度 |
日本でも、1950年代半ば頃までは、人口の約1/3が無保険者でした。医療費が負担できないために医療機関を受診できずに亡くなる人が、低所得者を中心に多くいて、社会問題になっていました。
このような状況を改善するために、1961年に「国民皆保険制度」がスタート。現在のように、誰もが病院へ行けるようになりました。

世界に誇る高い平均寿命も、国民皆保険制度のおかげといわれています。
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どこの医療機関でも、どの医師の治療でも受けられる制度のことです。「そんなの、当たり前でしょう」と思うかもしれませんが。
実は、イギリスやドイツ、フランスなどの公的医療制度が整っている国であっても、かかりつけ医を登録する制度を採用していて、初めて病院にかかる際は、登録された指定医療機関を受診しなければいけません。
評判や治療方針によって自分で通う病院や医師を選び、希望する治療を受ける。自分の体のことを自分の意志で決定する。
患者にとって非常に大きなメリットである、この当たり前のことができるのも、日本の公的医療保険制度の大きな特徴です。
現物給付の実施
窓口で保険証を提示し、自己負担分の医療費を支払うことで、診察や注射、投薬、手術などの医療行為を受けられることを現物給付といいます。一方、出産手当一時金や傷病手当金などは、現金給付といわれるものです。
病院へ行って治療してもらう。これも当たり前のことのように思うかもしれません。でも、民間の医療保険で行われるのは、現金給付です。加入していることで医療行為そのものを受けることができるのは、公的医療保険だからなのです。
高額療養費制度
保険適用の治療で高額の請求になった場合に、自己負担額を軽減できる制度。ひと月に支払った医療費が一定金額を超えると、超過分が公的医療保険から払い戻されるようになっています。ただし、ひと月の自己負担上限額は、年齢や収入によって異なります。
<69歳以下のひと月の医療費の上限額>
適用区分 | ひと月あたりの上限額(世帯ごと) |
年収約1,160万円~ | 25万2,600円+(実質医療費総額-84万2,000円)×1% |
年収約770~約1,160万円 | 16万7,400円+(実質医療費総額-55万8,000円)×1% |
年収約370~約770万円 | 8万100円+(実質医療費総額-26万7,000円)×1% |
~年収約370万円 | 5万7,600円 |
住民税非課税者 | 3万5,400円 |
※なお、70歳以上では、適用区分と計算式が若干異なります。
52歳で、年収が560万円の人が、ひと月に総額100万円する医療行為を受けた場合を見てみましょう。
・実質医療費総額×負担割合=窓口での支払い額
100万円×30%=30万円
・8万100円+(実質医療費総額-26万7,000円)×1%=ひと月の自己負担上限額
8万100円+(100万円-26万7,000円)×1%=8万7,430円
・窓口負担額-ひと月の自己負担上限額=高額療養費制度から払い戻される金額
30万円-8万7,430円=21万2,570円
ひと月で100万円もする医療行為を受けても、窓口負担が3割であることに加えて、高額療養費制度によって21万2,570円が払い戻されるため、実際には8万7,430円の支払いだけで済みます。
日本では、どんなに高額な治療を受けても、その医療行為が公的医療保険制度の適用内である限り、一定の金額で抑えることができます。
また、確定申告時に申請を行えば、最高で200万円までの医療費控除を受けられます。治療が長期にわたっても、一年間トータルでも医療費へのサポート体制が整っているため、費用面での不安を軽減できます。
さらに、会社員や公務員には、病気やケガで収入が減ってしまった場合に給料の2/3相当の金額が1年半にわたって支給される「傷病手当金」があるなど、「現金給付」の面でも充実しています。

誰もが、いつでも、どこでも、気軽に、しかも一定の医療費負担で、世界最高水準の医療を受けられるのが日本の公的医療保険制度です。
約7割の人が医療保険に加入している!

世界に類を見ない日本の公的医療保険。

こんなに手厚い保障があるなら、民間の医療保険なんて必要ない
と思うかもしれません。
ところが、公益財団法人生命保険文化センターが2022年度に行った、「疾病入院給付金の支払われる生命保険加入率(全生保※1)」に関する調査を見ると、66.8%の人が病気やケガをした際に給付金の支払われる生命保険に加入していることが分かります。
実は、この数字はコロナ禍による経済環境の変化や世帯年収の減少などを背景に、前回調査時より若干減少した数字になっています。以下の表を見ると分かるように、ほとんどの調査年で、加入率は7割を超えています。
※1 民間の生命保険会社や郵便局、JA(農協)、県民共済、生協等で取り扱われている生命保険(個人年金や生命保険共済を含む)。
<疾病入院給付金の支払われる生命保険加入率>

- A:疾病入院給付金が支払われる生命保険に加入している
- B:疾病入院給付金が支払われない生命保険に加入している
- C:生命保険に加入しているが疾病入院給付金が支払われるかどうか不詳
- D:非加入
- E:分からない
また、公益財団法人生命保険文化センターが2021年度に、生命保険に加入している一般家庭(世帯員2人以上)4,000世帯へ行った調査によると、93.6%もの世帯が医療保険、または医療特約保険に加入していることが分かります。
<医療保険・医療特約保険の加入率:民保※2加入世帯ベース)>
調査年 | 世帯(%) | 世帯主(%) | 配偶者(%) |
2021年 | 93.6 | 88.7 | 65.8 |
2018年 | 88.5 | 82.5 | 68.2 |
2015年 | 91.7 | 85.1 | 69.6 |
2012年 | 92.4 | 85.2 | 70.8 |
2009年 | 92.8 | 86.6 | 69 |
※2かんぽ生命を除く。
公的に手厚い保障があっても、やはり多くの人が民間の「医療保険」を必要と考えていることが分かります。
では、なぜこれほど多くの人が「医療保険」に加入しているのでしょうか。
公的医療保険が保障するのは、公的保険適用の治療等のみ
公的医療保険制度には、対象にならない治療やさまざまな費用があります。そして、公的医療保険制度が適用されない治療やそのほかの出費はすべて、全額自己負担になるのです。
公的医療保険制度の適用外とされるものは以下になります。
差額ベッド代

公的医療保険制度は、6床程度の一般病室を基準にしているため、少人数部屋や個室を希望した場合には「特別療養環境室料」という費用が発生します。いわゆる「差額ベッド代」と呼ばれているものです。
もちろん、病院側の都合や医師の判断で個室に入院した場合などは、差額ベッド代は基本的にはかかりませんが。一病室4床以下であるほか、いくつかの条件に当てはまる病室に入院した場合は、1日ごとに追加料金がかかることになります。
また、差額ベッド代の金額には、明確な基準や制限がなく、病院の判断により「妥当な範囲内」で設定されているため、「〇人部屋だからいくら」と決まっているわけでないということを覚えておいてください。
<特別療養環境室となる要件>
- 一病室4床以下
- 面積が一人当たり、6.4㎡以上
- ベッドごとにプライバシーを確保する設備
- 個人用の私物収納設備・照明・小机・椅子の設置
先進医療費

先端技術を用いた高度な医療技術や治療法を「先進医療」と呼びます。先進医療を行う際の技術料には、公的医療保険制度が適用されないため、数十万~数百万円の治療費は全額自己負担になります。
先進医療は、特定の大学病院で研究開発がされた、主に難病などの治療や手術に用いられる医療技術で、ある程度実績を積んだことで厚生労働省に認められた医療行為です。
ただし、公的医療保険制度では、国民が安全かつ有用な治療を受けられるよう、一定の有効性と安全性が評価された治療法のみを公的医療保険の対象としていることから、まだ新しい医療技術である「先進医療」は、制度の対象にするかを評価されている段階であるため、適用外となっています。
食事代・交通費・雑費

入院中に病院から提供される食事については、一般的な収入の人で、1食あたり460円を自己負担することになっています。
そのほか、入院中は、お見舞いや着替えを届けにきてくれる家族の交通費。テレビカード代や衣料品代など、直接治療にはかかわってこないさまざまな雑費が発生します。さらに、退院後には、嬉しい出費ではありますが、快気祝いなどにもお金がかかります。
入院中はもちろん、その前後にも、公的医療保険制度の対象にならないさまざまな費用が都度つど発生し、かさんでいきます。そして、これからすべてが自己負担。つまり、貯金などを切り崩して支払わなければならないものです。
医療保険があるという安心感

普段、ちょっと体調を崩した程度で病院へ通った場合は、ほとんどの治療や投薬は公的医療保険制度の適用内で済みます。でも、病気やケガで入院や手術をするようなことになったら、少なからず自己負担しなくてはいけないものが出てくるかもしれません。

実際に入院となった場合、静かな環境でゆっくりと療養したいと考える人が多いようで、入院患者の約7割が個室や少人数部屋を希望するそうです。
1日、2日程度の入院なら、差額ベッド代が発生しても大した金額にはなりませんが。もし、半年、一年と入院することになったら。
高い効果が期待できる治療法があるのに、先進医療のため公的医療保険制度の適用外。高額の医療費が払えないからと諦めることができますか。
元気なときには考えもしなかったことが、実際に病気やケガをすると途端に心配になってきます。
日本は公的医療保険制度が充実しているため、金銭面での不安は比較的少ないかもしれません。それでも、長期入院になったり、働けなくなったりする可能性を考えたとき、「医療保険」に加入していれば。
給付される金額にかかわらず、給付金を受け取れるということによって、

「貯金を切り崩さなくていい」「慌てて仕事に復帰しなくても大丈夫」
と思えますよね。
この精神面にゆとりを与えてくれる、安心感を得られることが、多くの人が医療保険に入る理由のひとつではないでしょうか。
まとめ
確かに、「医療保険」への加入の必要性の度合いは人それぞれです。ただ、さまざまなタイプの「医療保険」が存在するいまなら、保険料の面でも、保障の面でも、かなりの確率で納得のできる商品を見つけられるのではないかと思います。
各社の「医療保険」「入院保険」を比較して、希望に合った商品を探してみてください。