一戸建て住宅を購入したものの「突然の長期海外赴任が決まった」「住環境のもっと良いところに家を買いたくなった!」などの理由により、住宅を手放そうと考えている方もいるのではないでしょうか。
とはいえ、いま住んでいる家の築年数によって、その住宅が果たして売れるのか、どのくらいの価値があるのかと悩んでしまう人も多いかもしれません。
そこで今回は、築年数別に一戸建て住宅の売却価格や価値についてまとめてみました。
売却については築2年、築5年、築20年の一戸建て住宅を、価値については築15年と築25年の一戸建て住宅を対象としていますので、ぜひ参考としてみてくださいね。

この記事の目次
新築・築浅住宅は早期売却を狙おう
国土交通省の資料 によれば、新築住宅とは「新たに建設された住宅のうち、いままで人が住んだことのないもの(建設工事完了日から起算して1年を経過したものは除く)」と定義されています。
つまり、新築として扱うことができるのは、今まで誰も住んだことがない建設後1年未満の物件ということになるでしょう。
それに対し、築浅住宅とは明確な基準こそないものの、一般的には築3年~5年ほどの物件を指すことがほとんどです。
不動産売買においては、築年数が浅ければ浅いほど需要が高く、売却価格も購入時と差がつきにくいと言われます。
もちろん、売却価格はエリアにも左右されるものの、築年数の浅い物件を売却しようと考えている場合には売り出しのタイミングに十分注意しましょう。
宅建士
ローンの完済も忘れずに
物件購入時に住宅ローンを利用している場合、不動産の引き渡しまでにローンを完済しておかなければなりません。
ローンを組んだ際、物件を担保に抵当権を設定されることになりますが、不動産売却時には、この抵当権の抹消手続きを経てからでないと不動産登記における名義変更をすることができません。
売却代金でローンを完済できるのであれば特に問題はありませんが、売却代金で完済することが難しい場合には事前にしっかりとローン完済に向けた計画を練る必要があるでしょう。
いくら築浅・新築物件といえど、購入価格以上で売却できることはかなり稀なケースなので、自己資金でローンの残債を払うことができるのか確認しておくことが大切です。
築20年住宅の売却は気長に待つスタンスで
不動産業界において、築20年を超えると一戸建ての価値はゼロになるといわれますが、昨今ではセルフリノベーション(DIY)が流行っていることもあり、「あえて新築を買わずに中古物件をリノベーションしてみたい!」と考える人が一定数存在します。
きちんと必要な管理・修繕を行っていることが前提とはなりますが、以前に比べれば中古住宅であっても買い手がつくようになりました。
とはいえ、先述した新築・築浅の一戸建てに比べれば買い手が見つかるまでに時間を要することが多いため、気長に待つスタンスでいることが大切です。
また、よほどの好条件や人気が高いエリアで売りに出さない限り、希望の売却価格を下回ってしまうことも珍しくありません。
築20年住宅において、価格にこだわりすぎると買い手が見つからないケースも少なくないことから、ある程度の値引き交渉には応じようといった柔軟な姿勢も求められます。
宅建士
売却価格の目安を知ろう
一般的に、不動産の物件は一度誰かが住んだ時点(新築物件ではなくなった時点)で、価格が10%ほど下落すると言われています。
また、当然ながら築年数が浅いほうが下落率が高く、1年経過するごとに新築時の1-2%ほど値下がりしてしまうことが予想されます。
ここでは築2年、5年、15年、20年、25年のそれぞれの場合における、一戸建て住宅の売却価格の目安についてまとめてみました。
宅建士
築2年の一戸建て住宅
築2年の一戸建て住宅は、先ほどのケースに当てはめると約12-14%ほどの値下がりが生じると考えられます。
そのため、もし5,000万円で購入した物件を築2年で売りに出そうとすると、大体4,300~4,400万円程度の売却価格になるでしょう。
「築2年でそんなに下がるの?」と感じられる方もいるかもしれませんが、住宅の売却においてはそれだけ新築の価値が高いといえます。
築5年の一戸建て住宅
築5年の一戸建て住宅は、先ほどのケースに当てはめると約15-20%ほどの値下がりが生じると考えられます。
そのため、もし5,000万円で購入した物件を築5年で売りに出そうとすると、大体4,000~4,250万円程度の売却価格になるでしょう。
築5年であれば、それほどまだ建物の中の傷みや汚れも気にならないかもしれませんが、もしどうしても気になるところがあれば簡単に修繕をかけてから売りに出したほうがよいかもしれません。
特に喫煙者でたばこを日常的に室内で吸っていたり、ペットを飼っていたりする場合には傷みや汚れが目立ちやすいため、注意しましょう。
築15年の一戸建て住宅
築15年の一戸建て住宅は、購入時の2割前後まで価値が下がるといわれます。
そのため、購入時に5,000万円だった物件は1,000万円程度まで価値が下がってしまうかもしれません。
とはいえ価値が2割になるからといって買い手が現れないわけではなく、周辺環境や一戸建ての状態によっては買い手が見つかることもあるでしょう。
信頼できる不動産会社を見つけたうえで、腰を据えて機を待つことが大切です。
また、傷みや汚れが目立つ箇所があれば、最低限の修繕は済ませておくことをおすすめします。
築20年、築25年の一戸建て住宅
先述したように、築20年を超えると物件としての価値はほぼゼロになると言われます。
そのため、買い手が見つかるまでにそれ相応の時間がかかることはもちろん、希望売却価格を大幅に下回ることも覚悟しておかなければなりません。
また、戸建ての価値はほぼゼロとなりますが、土地の価格は相場変動こそあるものの築年数とは関係ないことから、「古家付き土地」として土地をメインとした売り出し方にシフトするのも一つの手です。
とはいえ、木造住宅の場合は建物そのものを壊して、土地だけ売った方が買い手が早く見つかるケースもあることから、事前に不動産会社と話をしておくようにしましょう。
5000万円の家を買った場合の築年数別まとめ
5,000万円 | 値下げり率 | 売却価格 |
---|---|---|
築2年 | 12-14% | 5,000円 |
築5年 | 15-20% | 10,000円 |
築15年 | 2割前後 | 30,000円 |
築20年~築25年 | 価値ゼロ | 価値ゼロ |
まとめ
今回は築年数別に一戸建て住宅の売却価格や価値について、ご紹介しました。
再三のお伝えとはなりますが、不動産の価値は都市部か郊外かといったエリア要素に左右されることはもちろん、周辺環境によっても大きく異なります。
そのため、不動産の売却にあたってはしっかりと相談に乗ってくれる不動産会社を見極めたうえで、柔軟な姿勢で臨むようにしましょう。
近年、中古住宅を購入される人が増えているとはいえ、新築・築浅に比べると勢いは随分劣ります。
一戸建てを売りに出そう決めた場合には、少しでも早く売却に向けた準備を進めることをおすすめします。