不動産を売買する際、仲介した不動産会社に対して手数料を支払わなければなりません。
この手数料のことを「仲介手数料」といい、不動産売買でかかる費用の中で最も大きなウエイトを占めています。
とはいえ、そもそも仲介手数料とはなんなのか、どれほどの金額がかかるのかイメージしづらい方も多いですよね。
そこで今回は、不動産売買にかかる仲介手数料の概要についてはもちろん、相場や上限額についてまとめてみました。
さっそく、見ていきましょう。
高橋友里恵◆宅建士およびFPなど複数資格を所持しており、在籍時代は、株式事務を中心に帳票作成や各種資金管理、顧客対応に従事。
不動産売買における仲介手数料とは

仲介手数料とは、その名の通り不動産の売買時における仲介に対して支払う手数料のことを指しています。
もちろん、不動産会社の仲介を介さずに当事者同士で不動産を売買することも可能ですが、基本的にはトラブル防止の観点から個人間売買が行われることはほとんどありません。
また、仲介活動とは不動産の売買における一連の流れ、つまり査定からチラシ作成やHP掲載、そして契約書の締結などのことを指します。
仲介手数料は成功報酬となっており、売買が成立するまでは手数料を支払う必要がありません。
宅建士
仲介手数料の上限額について

先述したように、仲介手数料の上限額は宅地建物取引業法によって定められています。そのため、仲介会社が上限額を上回る仲介手数料を受け取った場合は、法令違反となります。
また、あくまで定めがあるのは上限額であり、必ずしも上限額いっぱいまで請求しなければいけないものではありません。
仲介手数料の上限額は次のように定められています。
売却価格 | 仲介手数料の上限額 |
---|---|
200万以下の部分 | 売却価格 × 5% +消費税 |
200万円を超えて400万円以下の部分 | 売却価格 × 4% +消費税 |
400万円を超える部分 | 売却価格 × 3% +消費税 |
たとえば、売買価格1,000万円の土地の仲介手数料は以下のように求められます。
● 200万円×5%=10万円
● 200万円×4%=8万円
● 600万円×3%=18万円
合計:36万円(※この額に消費税額がプラスになります)
なお、売買価格が400万円を超える物件については、以下の「速算式」で仲介手数料の上限を求めることが可能です。
売買価格 × 3% + 6万円 + 消費税
参考サイト:全日本不動産協会
仲介手数料を支払うタイミング

仲介手数料は成功報酬であることから、売買契約が成立した時点で不動産会社に仲介手数料の請求権が発生します。
そのため、売買契約成立時に仲介手数料を全額支払うといった契約も、もちろん有効となります。
とはいえ、不動産売買契約の成立時点において、まだ物件の所有権移転までは完了していないケースが大半であることから、売買契約成立時に仲介手数料の50%、物件の引き渡し完了時に残りの50%を支払うことがほとんどです。
仲介手数料の値引きはできるのか

さきほどの計算式でもわかるように、仲介手数料は決して安い金額ではありません。
そのため、ただでさえ高価な不動産の売買をするにあたって、仲介手数料を少しでも安く済ませたいと考える人も多いですよね。
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メリットでいえば、仲介手数料が安くなることで浮いたお金を不動産のリフォームや引っ越し費用、その他支度金に充てることができるでしょう。
その一方で、デメリットを挙げるならば、仲介手数料を値引くことで不動産仲介会社との間に溝が生じ、気持ちの良いやりとりを交わしづらくなることが挙げられます。また、売買の相手方をなかなか見つけてもらえないなんてこともあるかもしれません。
不動産の売買をするうえで、不動産仲介会社の協力は必要不可欠です。そのため、仲介手数料の値引きと信頼関係のバランスを上手にとることが大切でしょう。
消費税増税の影響は仲介手数料にも
2019年10月1日から消費税が10%に増税されたことは記憶に新しいかと思いますが、増税の影響は仲介手数料にも及びます。
建物自体の売却価格に消費税はかかりませんが、仲介手数料には消費税が加算されることから、増税以後さらに手数料負担金額は大きなものになりました。
また、建物自体の売却価格に消費税はかからないと述べましたが、あくまでこれは中古物件の場合を指し、新築物件の購入にあたっては消費税がかかるので間違えないように注意しましょう。
まとめ
今回は不動産売買にかかる仲介手数料について、お伝えしました。
仲介手数料は不動産会社によって設定額が異なるため、複数の不動産会社を比較検討したうえで納得のいくところに売買を依頼するのをおすすめします。
また、複数会社を比較検討する際は不動産の一括査定サービス等を利用することで、作業負担の削減を図ることができるでしょう。
この記事が少しでも参考になっていたら、幸いです。