【保険プロ監修】エコキュートは火災保険で修理できる!補償される具体例まとめ

災害に強いということからエコキュートを導入している人が増えていますが、エコキュートは電気を使ってお湯を沸かすので電気的な故障が起こりやすく、例えば落雷などで故障することがあります。そういうときに自分でお金を出して修理をする人もいますが、実は火災保険を使って修理できます。

ただし補償を受けられる条件があって、すべての故障を火災保険で補償できるわけではありません。そこで、ここではどのような条件ならエコキュートを火災保険で修理できるのかについて、具体例を示しながら紹介していきます。

エコキュートは火災保険の補償対象

火災保険は火災や自然災害が発生したときに、建物や家財を補償するための保険です。建物補償と家財補償の2つの補償対象があり、エコキュートは建物に分類されるため、建物を補償する火災保険に加入していれば、エコキュートが故障したときに保険金が支払われます。

自分の火災保険が建物補償か家財補償かわからないという人もいるかもしれませんが、住宅ローンを使っているなら間違いなく建物補償に加入しています。火災や自然災害によるエコキュートの故障は、火災保険で修理や買い換えできますので安心してください。

ただし、次の条件に該当する場合には保険金を受け取ることができません。

経年劣化は補償対象外

エコキュートの故障原因が経年劣化だった場合は、火災保険の補償対象外になります。これはエコキュートに限ったことではなく、他の住宅設備でも同じです。想定外の火災保険は事故や災害に備えるための保険で、経年劣化は偶発的に起きるのではなく、発生することが確実にわかっていることなので、補償対象外となっています。

エコキュートの寿命は10〜15年とされていますので、10年を超えてからの故障は経年劣化とみなされる可能性があります。経年劣化による故障なのか、災害による故障なのかは保険会社が判断しますが、古いエコキュートの故障は補償してもらえない可能性もあるということを、頭に入れておきましょう。

修理費用が免責金額以下だと補償されない

火災保険に免責金額を設定している場合には、免責金額よりも修理費用が安い場合には保険金をもらうことができません。例えば免責金額が20万円で修理費用が15万円だったとすると、免責金額のほうが金額は大きいので1円も受け取れません。

修理費用が25万円だった場合にも、免責金額を差し引いた5万円しか受け取れません。免責金額を設定すると火災保険が安くなりますが、いざというときに受け取れる金額が少なくなり、エコキュートの故障時も補償を受けられない可能性があるのでご注意ください。

火災保険で補償される具体例

下記のようなケースで、エコキュートが故障したときに火災保険で補償を受けることができます。

利用者
利用者

火事でエコキュートが燃えてしまった

丸尾
丸尾

火災

利用者
利用者

落雷でエコキュートに過電流が流れて故障した

丸尾
丸尾

雷災

利用者
利用者

大雨でエコキュートが水に浸かって壊れた

丸尾
丸尾

水災

利用者
利用者

台風で飛んできた看板がエコキュートにぶつかった

丸尾
丸尾

風災

利用者
利用者

車をエコキュートにぶつけてしまった

丸尾
丸尾

落下・飛来・衝突

基本的には自然災害による故障で補償を受けられますが、自動車を駐車するときにエコキュートにぶつかって壊したというようなケースでも、火災保険で修理もしくは買い換えできます。ただし、これらと同じ状態であっても、必ずしも補償を受けられるわけではありません。

どのような条件なら補償を受けられるのかについて、もう少し詳しく解説していきます。

補償内容が対象になるポイント

エコキュートを火災保険で修理できるかどうかは、故障原因が補償内容に含まれるかどうかで決まります。基本となる補償内容は保険会社ごとに多少違いはありますが、一般的な火災保険では下記のような補償内容で構成されています。

  1. 火災、落雷、破裂・爆発
  2. 風災、雹災、雪災
  3. 水災
  4. 水漏れ(水濡れ)
  5. 建物外部からの物体の落下・飛来・衝突
  6. 盗難
  7. 破損・汚損
  8. 騒擾・集団行為等にともなう暴力行為

1〜8まですべて補償する火災保険はフルサポートと呼ばれ、様々なトラブルに備えることができます。フルサポートなら上記の具体例のいずれも補償を受けられますが、補償内容が多いと保険料が高くなります。このため保険会社は1〜8の補償内容を独自に組合せてプランを作り販売しています。

例えば高台にある戸建て向けに水災補償を省いたり、セキュリティが高いマンション向けに盗難補償を省いたりして、保険料を抑えたプランを作ります。自分が加入している火災保険のプランに水災補償がない場合、エコキュートが水没して壊れたとしても補償を受けられません。

加入している火災保険の補償内容によって、エコキュートの修理や買い換えができるかどうか決まると覚えておきましょう。

地震による被害は補償対象外になる

エコキュートは災害に強い設備ですが、巨大地震などがあるとさすがに転倒して壊れてしまうことがあります。残念ながら地震による倒壊は火災保険で補償することはできません。地震が原因で家が火事になり、エコキュートが燃えたときも補償対象外です。

地震に備えたいのであれば地震保険に加入しておく必要があります。ただし、地震保険は建物本体の被害状況によって保険金額が決まります。もし損害が発生したのがエコキュートだけで、建物に被害がないなら補償を受けることができません。

故障から3年以内の申請が必要

エコキュートがないとお風呂に入れないので、トラブルが発生してもエラー信号だけしか出ないのでだましだまし使い続けるケースもあるかもしれません。その場合に気をつけてもらいたいのが火災保険の時効です。

火災保険は事故発生から3年以内に請求しないと、時効によって請求権が失われてしまいます。だましだまし使い続けて、とうとう動かなくなってから申請しても、事故から3年以上経過していると保険金を受け取ることができません。故障したら、できるだけすみやかに保険会社に連絡しましょう。

電気的・機械的事故補償特約なら幅広く補償

保険会社によっては、火災保険に電気的・機械的事故補償特約という特約を付けることができます。この特約はとても優秀で、補償内容以外の原因でエコキュートが壊れたとしても、保険金を支払ってもらえます。

エコキュートは電気設備ですので、いきなり基盤が壊れることもありますし、配管が凍結して破裂するようなこともあります。電気的・機械的事故補償特約を付けておけば、そのようなトラブルでも火災保険を使って修理や買い換えできます。

火災保険に加入するときに、電気的・機械的事故補償特約を付けている可能性があります。エコキュートが補償内容以外の理由で故障したときには、火災保険に電気的・機械的事故補償特約が付いているかどうか確認しましょう。

エコキュートが故障したときにすべきこと

エコキュートが故障した場合、まずは設置業者に連絡をして故障原因を特定してもらいましょう。修理費用もしくは交換費用の見積もりを作ってもらい、それを元に保険会社に連絡してください。それと合わせて、数日間のお風呂をどうするか決めてください。

水漏れでもないかぎり、おそらく1晩分くらいのお湯は残っているかと思いますが、修理もしくは交換するまでに数日かかります。保険会社の調査が入るとなると、さらに交換するまでに時間がかかってしまいます。

近所に実家や銭湯があれば問題ありませんが、そうでない場合には友人を頼るなどしてお風呂を確保しましょう。どうしても自宅で済ませたいというのであれば、価格がやや高いですが、ポータブル湯沸かし器を購入するという方法もあります。

エコキュートの対応ばかり頭が行きがちですが、実際に最も困るのはお風呂に入れないことですので、業者や保険会社に連絡しつつも、近所に銭湯や温泉、シャワーのあるネットカフェなどがないかもチェックしておきましょう。

保険金請求の手順

落雷やなどでエコキュートが壊れたとき、火災保険で修理や買い換えするためには、きちんと手順を踏んで保険会社に申請をする必要があります。どのような手順で申請すればいいか見ていきましょう。

設置業者に調査・見積書作成依頼

まずはエコキュートを設置した業者に現状を調査してもらいます。故障理由の確認や、修理か買い換えかの判断をしてもらい、火災保険の補償を受けられるようであれば保険会社に提出する見積書を作成してもらいましょう。

保険会社に連絡・必要書類の提出

保険会社に連絡し、被害状況を伝えましょう。その後、保険会社から必要書類が送られてきますので、内容をしっかりと確認して提出しましょう。このとき見積書や被害状況がわかる写真が必要になります。連絡をするときに、すぐに修理や買い替えの手配をしていいか確認しましょう。故障状況によって判断が違いますので、保険会社の指示に従って対応してください。

保険会社の鑑定人が調査

被害状況によっては保険会社の鑑定人が、修理費用が妥当なのかを確認するために現場を調査します(調査をしないケースもあります)。ここで支払われる保険金が決まります。

保険金の入金

支払われる保険金額が決まったら、指定口座に保険金が入金されます。この保険金を使って修理しましょう。

まとめ

エコキュートは故障するとお風呂に入れなくなるので、すぐにでも修理もしくは買い換えしたくなりますが、買い換えるとなったらまとまったお金が必要になります。火災保険に加入していれば、その費用を火災保険で補償してもらえる可能性があります。

このとき慌てて修理するのではなく、まずは原因を調査してもらい、火災保険の補償対象になるかどうかを判断してもらいましょう。業者に火災保険で対応できると判断してもらったら、保険会社に連絡して、保証を受けるための手続きを行いましょう。

それと合わせて数日間のお風呂をどうするか決めておきましょう。修理するにしても、買い換えるにしても数日間ほど自宅のお風呂が使えなくなります。夏場などかなり困ることになりますので、銭湯やネットカフェなどを探して、お風呂を使えない問題を解決してください。

いざというときには冷静に正しい判断をするのは大変ですが、まずは落ち着くことです。エコキュートの故障を火災保険で補償してもらうためにも、ここでご紹介した手順どおりに手続きを進めていきましょう。